願海寺城

願海寺城の歴史と遺構

願海寺城（がんかいじじょう）は、富山県富山市願海寺にあった日本の城であり、地元にて「とやま城郭カードNo.59」としても知られています。城は呉羽山の北西側に広がる平地に位置し、当時は水堀で囲まれた構造を持っていました。主郭を中心に周囲には「二之廻輪」が設けられており、湿地帯に囲まれていることから防御の役割を果たしていました。

発見と遺構

この城の具体的な所在地は長い間不明でしたが、2002年に実施された発掘調査によって井戸や木簡、将棋の駒や箸、櫛、曲物等が見つかり、さらには二重の水堀を伴う居館の跡が確認されました。これにより、願海寺城が歴史的に重要な位置づけであることが再認識されました。主郭周辺の堀は約5メートルの幅と1.5メートルの深さを持ち、城下町の北側には北陸道が通っており、防衛上の工夫として道路が曲がりくねった形状をしていることが特徴です。この道は現在でも「願海寺の七曲り」として地域に伝わり、地元の文化となっています。

城の歴史

願海寺城の正確な築城時期は不明ですが、少なくとも上杉謙信に攻撃を受けた天文19年（1550年）以前には存在したと考えられています。この城は越中国の国人である寺崎氏の居城であり、彼らが築いたとされます。寺崎氏は、元々は畠山氏の家臣でありましたが、上杉謙信の攻撃によって城は陥落し、当主の寺崎行重は敗死しました。

その後、寺崎氏の子である盛永が後を継ぎましたが、彼は上杉謙信や越中国の富山城主である神保長職との外交を巧みに操る必要がありました。さらに、盛永は天正6年（1578年）に謙信が死去した際に、織田信長の側につくことになりますが、数年後には信長に上杉家への回帰を疑われ、天正9年（1581年）には信長の側近によって攻められ、城は落城しました。盛永とその子の喜六郎は、近江国の佐和山城で切腹させられました。

年表による城の動向

• - 1550年（天文19年）: 上杉謙信による攻撃により城が陥落、城主寺崎行重が敗死。
• - 1552年（天文21年）: 盛永が飯田利忠と戦うが、勝利後に城生城を攻めるも失敗。
• - 1574年（天正2年）: 畠山氏の当主が死去し、一向一揆の動きが強まる中、盛永もこれに参加。
• - 1576年（天正4年）: 謙信が畠山氏を攻撃、寺崎氏も参戦。
• - 1578年（天正6年）: 謙信が死去し、盛永は織田方へと転向。
• - 1581年（天正9年）: 城が落城、盛永と喜六郎が切腹。

現在の状況

願海寺城跡は江戸時代には水田として利用されており、堀は時代とともに埋没していきました。地表上での面影はほとんど失われていますが、2002年から2019年にかけて数回の発掘調査が行われており、石碑や案内板が設置されることでかつての城の存在を伝えています。皆様がこの歴史的な地を訪れる際には、その背景に触れ、地域の歴史を感じていただければと思います。

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