風間万年

風間万年：神風特攻隊旭日隊指揮官、その生涯と戦死の謎

風間万年（かざま まんねん、生年不明 - 1945年1月3日または1月4日）は、日本の海軍軍人であり、神風特別攻撃隊・旭日隊の指揮官として知られています。特攻により戦死しましたが、その作戦行動については資料によって異同が見られます。没後、二階級特進により最終階級は海軍少佐となりました。

生涯

福島県出身の風間は、旧制福島県立喜多方中学校を経て海軍兵学校へ進みました。海兵72期生の一人として、校長の新見政一、草鹿任一、井上成美といった名将の指導を受けました。教官の中には、同郷の先輩である折笠重康もいました。1943年9月、625名中126番の席次で海軍兵学校を卒業。戦時下であったため、少尉候補生311名のうち、多くが飛行学生となり、風間も翌年7月に第41期飛行学生を卒業しました。海兵72期出身の41期飛行学生は202名が戦死し、その戦死率は66%に達しています。風間は偵察専攻の士官として、太平洋戦争に出征しました。

1944年11月、風間が所属する攻撃第102飛行隊（第51航空戦隊所属）はフィリピンへの進出を命じられます。その前月には、神風特別攻撃隊による作戦が開始されており、風間中尉は旭日隊の指揮官に任命されました。

戦死に関する異説

風間の戦死については、日付や状況に関して複数の説が存在します。

1月4日戦死説

この説では、1945年1月4日17時5分、風間はミンダナオ島南部のサランガニを出撃したとされます。前日の17時55分には、操縦員の長谷川弘房上飛曹とペアを組み、偵察員としてラサン基地から出撃していますが、4日までの詳しい経緯は不明です。風間の率いる旭日隊は、「彗星」艦上爆撃機2機で構成され、スールー海北部へ進撃しました。直掩機（護衛機）は存在しませんでした。

当時、米海軍のオルデンドルフ中将は164隻からなる大艦隊を率いてレイテ湾を出撃し、スールー海に入っていました。オルデンドルフ艦隊の護衛空母12隻からなる第二群が、スールー海北部に位置するパナイ島付近で特攻機の攻撃を受けました。攻撃隊は、西日を利用した巧妙な戦術で米海軍部隊に気付かれることなく接近に成功。2機のうち1機が護衛空母「オマニー・ベイ」に命中し、もう1機は護衛空母「ルンガ・ポイント」に突撃しましたが、命中には至りませんでした。当時の戦果判定では「空母一隻を撃沈せるものの如し」とされましたが、この攻撃が風間の指揮する旭日隊によるものと考えられています。

「オマニー・ベイ」に突入した「彗星」は、飛行甲板右舷に命中。搭載していた2発の爆弾のうち、1発が格納庫、もう1発が第二船倉甲板で爆発し、格納庫や艦上にあった航空機が炎上、さらに弾薬が誘爆する事態となりました。駆逐艦による救助作業が行われましたが、最終的に総員退艦となり、魚雷によって処分されました。「オマニー・ベイ」の人的損害は、戦死・行方不明93名、負傷65名に及びました。

1月3日戦死説

一方、1945年1月3日に風間が長谷川弘房一飛曹とともにラサンを出撃し戦死したとする説も存在します。同日、第三十金剛隊の零戦2機もセブを出撃しており、この日の戦果として、戦車揚陸艦（LST）2隻に特攻機が1機ずつ命中、油槽船にも損傷を与えたとされていますが、どの機が命中したかは特定されていません。「オマニー・ベイ」撃沈は、翌日の陸軍双発機による特攻であるという見解も存在します。

旭日隊

旭日を冠する神風特別攻撃隊は、風間の他にも多くの隊員が出撃しています。1月5日には井上茂夫一飛曹、幡野孝司一飛曹ペア、1月6日には向吉健三一飛曹、花下道好一飛曹ペア、吹野匡中尉、三宅精策少尉ペア、1月7日には斎藤喜一少尉、池島厚吉少尉ペアがそれぞれ特攻を行い、戦死しました（階級は攻撃時）。海軍航空部隊の特攻による空母撃沈例は、「オマニー・ベイ」の他に、関行男大尉を指揮官とする敷島隊による「セント・ロー」、村川弘大尉を指揮官とする第二御盾隊による「ビスマーク・シー」の計3隻です。正規空母については大破の事例はありますが、撃沈例はありません。

風間万年の生涯は、戦争の悲劇と特攻という作戦の特異性を象徴しています。彼の死は、今もなお多くの謎に包まれています。

もう一度検索