飛騨乃花成栄

飛騨乃花成栄（ひだのはな しげよし）は、1953年12月13日に岐阜県大野郡朝日村（現在の高山市）で生まれました。本名を平林修といい、二子山部屋に所属した元大相撲力士です。

1969年3月場所に初土俵を踏み、長い下積み生活を送りました。その間、6回も改名するなど苦労を重ねましたが、部屋の関取衆との稽古で力をつけ、1979年7月場所で十両に昇進、翌1980年9月場所には新入幕を果たしました。

立合いは甘いものの、右四つでがっぷり組んだ時の強さは、稽古場では部屋の役力士たちと互角に渡り合うほどでした。その強さから、同部屋の大関・若嶋津に「あれは飛騨乃花じゃなくて“飛騨力”だ」と言わしめたほどです。しかし、幕内上位ではなかなか勝ち越すことができず、幕内と十両を往復するなど、地味な印象が残りました。

1989年1月場所では十両下位で大敗し、幕下陥落が確実となりましたが、現役続行の意思を示していました。しかし、この場所限りで引退（番付上は翌3月場所付）しました。

引退後は、年寄「尾上」を襲名し、二子山部屋や荒磯部屋で後進の指導にあたりましたが、1994年3月場所後に廃業しました。

その後、東京都中野区で相撲料理店「相撲茶屋・飛騨乃花」を経営しました。後に帰郷し、故郷の岐阜県高山市で「相撲茶屋・飛騨乃花」を経営し2010年頃まで営業していましたが、現在は閉店しています。

甥には、荒磯部屋に所属していた元幕下力士の荒慧がいます。

自己最高位の西前頭筆頭で迎えた1981年11月場所では、8日目に横綱・北の湖を寄り切りで破り、北の湖から生涯唯一の金星を挙げました。この勝利は、北の湖が翌9日目の取組前に休場届を出すこととなり、1967年の初土俵以来、初めて休場するという事態を招きました。また、1973年7月場所から続いていた北の湖の本場所での連続勝ち越し記録も、50場所で途絶えることとなりました。しかし、この場所は5勝10敗で負け越しが決まり、結果としてこの場所の前頭筆頭が飛騨乃花の自己最高位となりました。

主な成績としては、通算成績は643勝654敗、幕内成績は153勝222敗です。現役在位は120場所、幕内在位は25場所でした。三賞は1回、敢闘賞は1回（1983年7月場所）受賞しています。金星は1個（北の湖から）獲得しています。各段優勝は、十両優勝が1回（1981年1月場所）です。通算連続出場は1297回（史上10位タイ、1969年5月場所から1989年1月場所まで）を記録しました。

改名歴
平林 修（1969年5月場所）
龍王山 修（1969年7月場所-1973年5月場所）
大真弓 修（1973年7月場所）
龍王山 修（1973年9月場所-1975年1月場所）
平林 修（1975年3月場所-同年5月場所）
龍王山 修（1975年7月場所-1977年11月場所）
飛騨乃花 修弘（1978年1月場所-1980年11月場所）
飛騨ノ花 修弘（1981年1月場所-1982年1月場所）
飛騨ノ花 修（1982年3月場所-1983年7月場所）
飛騨乃花 成栄（1983年9月場所-1989年3月場所（引退））

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