飛鳥井雅親

飛鳥井雅親（あすかい まさちか）は、室町時代中期に活躍した公卿で、飛鳥井家8代当主です。父は飛鳥井雅世で、官位は正二位・権大納言にまで昇りました。

歌道においては、正長元年（1428年）に将軍足利義教が主催した幕府歌会に出仕して以来、その才能を発揮し、内裏や将軍家の歌道師範として活躍しました。当時の歌壇において、重要な役割を果たした人物として知られています。

享徳元年（1452年）には、父の跡を継いで飛鳥井家の当主となりました。その後、寛正6年（1465年）には、後花園上皇から『新続古今和歌集』に続く勅撰集編纂の院宣を受けましたが、応仁の乱の影響により中断を余儀なくされました。この間、雅親は近江国柏木に隠棲し、「柏木」を雅号としました。

また、雅親は能書家としても名を馳せ、書道においては飛鳥井流（栄雅流）の祖となりました。その書風は後世にも大きな影響を与え、現在でも高く評価されています。文明5年（1473年）に出家し、仏門に入りました。

歌人としての活動も活発で、宗祇の歌の師であったことでも知られています。家集として『亜槐集』や『筆のまよひ』があり、歌論書としては『和歌道しるべ』、『和学入学抄』、『古今栄雅抄』などを著しました。これらの著作は、当時の歌道や文化を知る上で貴重な資料となっています。

飛鳥井雅親は、歌道、書道、そして公家としての活動を通じて、室町時代の文化に大きな足跡を残しました。彼の多才な才能と幅広い活動は、後世の文化に大きな影響を与え続けています。

系譜
父：飛鳥井雅世（1390-1452）
母：不詳
妻：不詳
男子：飛鳥井雅俊（1462-1523）
男子：土岐益豊（民部大輔、土岐頼忠3世孫・則松治部少輔益世の養子）

出典
安田元久 編『鎌倉室町人名事典』新人物往来社、1990年
『日本大百科全書 第2版』 小学館、1994年
『日本人名大辞典』 講談社、2001年

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