飯泉喜内

飯泉喜内（いいいずみ きない）

飯泉喜内（1805年 - 1859年）は、江戸時代末期、激動の幕末に生きた志士です。渡辺六蔵と名乗っていた時期もあり、唯明、友輔という諱、一蔵という別称も持っていました。

生涯

文化2年（1805年）に生まれた飯泉喜内は、初め土浦藩の藩主、土屋彦直に仕え、代官として民政に携わりました。農政において一定の成果を上げたとされています。しかし、天保3年（1832年）に脱藩し、江戸の浅草で豪商の手代となります。その後、旗本である曾我権右衛門の侍医、飯泉春堂を娘婿に迎え、飯泉氏を名乗るようになりました。

嘉永5年（1852年）に上京し、三条実万の家士となり、小林良典や村井正礼らと交流を深めます。嘉永6年（1853年）、アメリカ合衆国のマシュー・ペリーが来航した際には、『祈りの一言』を実万に建白し、幕府の政治を批判しました。安政4年（1857年）に江戸へ戻ってからも、京都の同志たちと情報交換を続けていました。また、将軍継嗣問題においては、橋本左内や梅田雲浜らと共に一橋派を支持しました。

安政5年（1858年）、真福寺に滞在していたロシア人との接触を疑われ、下田奉行手付書役の大沼又三郎に捕えられます。自宅からは多数の書類が押収され、その中には多くの志士たちとの手紙が含まれていました。この事件がきっかけとなり、安政の大獄へと発展しました。当時は、この経緯から「飯泉喜内初筆一件」と呼ばれていました。

安政6年（1859年）、橋本左内や頼三樹三郎らと共に、江戸伝馬町の牢屋敷で斬刑に処されました。享年55歳。墓所は東京都荒川区南千住の回向院にあります。

安政の大獄との関わり

飯泉喜内は、安政の大獄の直接的な引き金となった人物として知られています。彼が捕縛された際、自宅から発見された同志たちとの書簡が、幕府による大規模な弾圧事件を引き起こすきっかけとなりました。

関連事項

* 安政の大獄

飯泉喜内は、幕末の動乱期に、尊王攘夷の思想を抱き、行動した志士の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

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