首都機械化歩兵師団 (韓国陸軍)

首都機械化歩兵師団（猛虎師団）

韓国陸軍に所属する首都機械化歩兵師団は、ソウル首都圏防衛と北朝鮮への反撃を任務とする精鋭師団です。「猛虎師団」の通称でも知られ、第3軍第7機動軍団に所属しています。朝鮮戦争とベトナム戦争への派兵経験を持ち、近年はイラクへの有志連合にも部隊を派遣するなど、韓国軍を代表する部隊としてその存在感を示してきました。

師団の歩み

朝鮮戦争

1948年6月20日、首都警備司令部として発足。当初は陸軍本部の直轄でしたが、ソウル陥落後、第1軍団に編入され、大田、釜山周辺での激戦を経験しました。朝鮮戦争勃発時には、議政府方面への投入で壊滅的な打撃を受けましたが、ソウル陥落後、始興地区で再編され、漢江防衛線などで奮戦しました。鎮川や清州周辺での戦闘では、北朝鮮軍との激しい戦闘を繰り広げ、その後安東へと転進。

その後、杞渓・安康の戦いで北朝鮮軍第12師団を挟撃、殲滅する戦果を挙げましたが、反撃を受け杞渓を喪失。釜山周辺の戦闘でも北朝鮮軍の進攻を阻止、その後は北進作戦に参加し、元山を占領、清津北部まで進出しました。しかし、中国人民志願軍の参戦により興南から撤退を余儀なくされ、墨湖に上陸。終戦まで、大関嶺、香炉峰、月飛山などで激しい戦闘を繰り広げ、休戦協定締結に至りました。

ベトナム戦争

朝鮮戦争での功績から、首都師団はベトナム戦争にも派兵されました。1965年9月22日、南ベトナムのクイニョンに展開。国道1号線と19号線沿いの防衛、捜索作戦などで活躍しました。特に、1966年8月、第9中隊がベトナム人民軍部隊の攻撃を受けた戦闘では、圧倒的な戦力差を克服し、これを撃退しました。1973年3月11日、韓国に帰還しました。

ベトナム戦争における首都師団の編制は、師団司令部中隊、騎兵連隊、歩兵連隊2個、師団砲兵、工兵大隊、その他支援部隊で構成されていました。首都師団は、アメリカ軍第9歩兵師団や第504憲兵大隊C中隊など、様々なアメリカ軍部隊と共同作戦を行いました。

現在

1973年3月22日、機械化歩兵師団に改編。現在、師団本部大隊、3個の機械化歩兵旅団（各旅団に戦車大隊と機械化歩兵大隊が所属）、師団砲兵旅団、その他支援部隊から構成されています。各部隊は「ボンゲ（稲妻）」、「飛虎（飛虎）」、「恵山鎮（恵山市）」などの独特の別称を持ち、その伝統と誇りを継承しています。

参考文献

佐々木春隆『朝鮮戦争/韓国篇 上巻 建軍と戦争の勃発前まで』（原書房）
白善燁『若き将軍の朝鮮戦争 白善燁回顧録』（草思社）
白善燁『指揮官の条件 朝鮮戦争を戦い抜いた軍人は語る』（草思社）
韓国国防軍史研究所 編『韓国戦争』（かや書房）
韓国国防部軍史編纂研究所 『派越韓国軍戦史』『韓國戰爭要約』『통계로 본 베트남전쟁과 한국군』
박동찬『통계로 본 6·25전쟁』
* 심호섭『주월한국군의 중대전술기지 운용이 지닌 이상과 현실 - 둑꼬 전투(1966)를 중심으로』

これらの文献は、首都機械化歩兵師団の歴史と活動について、より詳細な情報を提供しています。

まとめ

首都機械化歩兵師団は、韓国軍の中でも特に歴史と伝統を誇る精鋭師団です。朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして最近のイラク派遣など、数々の激戦を経験し、その戦闘力は高く評価されています。今後も、韓国の安全保障に重要な役割を果たし続けることでしょう。

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