馬桂源

馬桂源（ば けいげん、Mǎ Guìyuán、1843年 - 1873年）は、19世紀後半の中国において、回民蜂起を指導した人物の一人です。彼は甘粛省河州の出身で、イスラム教の中でもフフィー教団という宗派の創始者である馬来遅の4世の子孫にあたります。1860年、兄の死去に伴い、若くして教団の指導者となりました。

1862年、回民と漢民族の間で発生した衝突をきっかけに、回民やサラール族が馬文義をリーダーとして蜂起します。この動きの中で、馬桂源は宗教的な指導者として担ぎ上げられました。当初、清朝は回民の勢いを鎮圧することができませんでした。このため、1868年には馬桂源を西寧府知府、彼の兄弟である馬本源を西寧鎮総兵代理に任命せざるを得なくなりました。これにより、西寧地方は事実上、清朝の支配から独立した状態となったのです。

1871年、馬文義が病死すると、陝西回民軍の白彦虎、禹得彦、崔偉らが西寧に逃れてきました。彼らは清朝への徹底抗戦を主張し、馬桂源らに大きな影響を与えたと考えられます。翌1872年、清朝は左宗棠の指揮下にある劉錦棠に西寧攻撃を命じます。これに対し、馬桂源は「統領陝湟兵馬大元帥」を名乗り、西寧防衛を指揮することになりました。同年8月、激しい戦闘が開始され、およそ2ヶ月間続きました。しかし、劉錦棠率いる清軍は徐々に西寧を制圧し、禹得彦、崔偉、そして馬桂源の叔父である馬永福は清朝に投降しました。

馬桂源と彼の兄弟は、パエンロンゴ（巴燕戎格）に逃れて抵抗を続けましたが、1873年2月には白彦虎率いる軍勢が大通で敗れて粛州へ逃れてしまい、パエンロンゴは孤立無援の状態に陥りました。同年3月、馬桂源兄弟は、以前に清軍に投降していた河州の回民指導者である馬占鰲に騙され、捕らえられてしまいます。その後、彼らは蘭州に送られ、処刑されました。この事件は、回民蜂起における重要な転換点となり、清朝による支配が再び強化されるきっかけとなりました。馬桂源の生涯は、民族や宗教間の対立、そして清朝末期の動乱という時代背景を色濃く反映していると言えるでしょう。

参考文献
* 白寿彝主編『回族人物志』寧夏人民出版社

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