馬雄

馬雄（ば ゆう）は、東晋初期の混乱期に蘇峻の乱でその名を知られた軍人です。彼の生涯は、短いながらも激動の時代を反映しています。

生涯

馬雄は東晋に仕えていましたが、詳しい出自や初期の経歴は記録に残っていません。しかし、咸和2年（327年）に冠軍将軍蘇峻が歴陽で反旗を翻すと、馬雄はこれに呼応し、反乱軍に身を投じました。この決断が、彼の人生を大きく変えることになります。

咸和3年（328年）2月、馬雄は反乱軍の中で左衛将軍という重要な地位に任じられました。これは、蘇峻からの信頼が厚かったことの証でしょう。同年5月、会稽内史の王舒と奮武将軍の庾冰が蘇峻討伐のために兵を挙げると、呉興郡太守の虞潭、呉国内史の蔡謨、前義興郡太守の顧衆らがこれに呼応しました。馬雄は張健と共に、庾冰らの軍の前鋒と無錫で交戦し、勝利を収めました。この勝利に乗じて、馬雄らは敵地に侵入し、府舎を焼き払い、諸県から略奪を行いました。反乱軍としての活動が激化していく様子がうかがえます。

しかし、王舒らとの再戦では、張健が曲阿に退却。張健の命により、陶陽らと共に迎撃に向かった馬雄でしたが、2千の兵を失うという大敗を喫してしまいます。これにより、反乱軍の勢いは徐々に衰え始めました。

咸和4年（329年）2月、馬雄は残党軍を率いる張健や韓晃らと共に、故鄣へ向かいました。しかし、車騎将軍の郗鑒は李閎を派遣して追撃させます。両軍は平陵山で激突し、蘇峻側は壊滅的な打撃を受け、馬雄自身もこの戦いで討死しました。蘇峻の乱における馬雄の活動は、およそ2年という短い期間でしたが、東晋の歴史にその名を刻みました。

蘇峻の乱における役割

馬雄は、蘇峻の乱において重要な役割を担いました。彼は、反乱軍の将として、東晋政府軍と各地で激戦を繰り広げました。特に、無錫での勝利は、反乱軍の勢いを一時的に高める上で大きな意味を持ちました。しかし、その後の敗北により、反乱軍は徐々に追い詰められていきました。馬雄の死は、蘇峻の乱の終焉を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

人物評

馬雄に関する記録は断片的であり、彼の人となりを詳しく知ることはできません。しかし、蘇峻の乱という動乱の中で、左衛将軍という要職を任されたことや、自ら兵を率いて戦ったことなどから、武勇に優れた人物であったと考えられます。また、時代の流れを読む力や、政治的な判断力には欠けていたかもしれませんが、与えられた任務に対しては忠実に、そして勇敢に立ち向かった人物であったと言えるでしょう。

まとめ

馬雄は、東晋初期の蘇峻の乱において、反乱軍の一員として活躍した軍人です。彼の生涯は、短いながらも激動の時代を反映しており、その名は東晋の歴史に刻まれています。

参考文献
『晋書』巻76
『資治通鑑』巻94

関連項目
* 蘇峻の乱

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