馮従吾

馮従吾（ふう じゅうご）

馮従吾は、明代後期の儒学者、官僚として知られています。字は仲好、号は少墟と称し、西安府長安県を本貫とします。1556年に生まれ、1627年に生涯を閉じました。

生涯

馮従吾は、儒学者として許孚遠に師事し、周敦頤や程顥の性理学を深く学びました。1589年、科挙に合格し進士となります。その後、庶吉士となり、御史に任じられました。御史時代には、内城を巡視中に、宦官からの面会要求を拒否し、また、礼科都給事中の胡汝寧の悪行を暴き、地方へ左遷させるなど、不正を厳しく糾弾しました。

1592年、馮従吾は万暦帝が祭祀や政務を怠り、飲酒にふける様を諌める上奏を行いました。これに対し万暦帝は激怒し、馮従吾を杖罰に処そうとしましたが、仁聖太后の誕生日であったため、閣臣たちの弁護によって処罰を免れました。しかし、この事件を機に官を辞して故郷に帰りました。その後、長蘆で塩政巡検として起用され、再び不正を追及しましたが、北京に召還された際、以前の上奏を理由に官籍から削られてしまいます。故郷に戻ると、馮従吾は邸の門を閉ざし、客を断って理学の研究に打ち込みました。この隠遁生活は25年にも及びました。

1620年、泰昌帝の即位に伴い、馮従吾は尚宝司卿として官界に復帰し、太僕寺少卿に進みますが、長兄の喪に服すため赴任しませんでした。その後、大理寺少卿に転じ、1622年には左僉都御史に抜擢され、在任2ヶ月で左副都御史に昇進しました。朝廷では、梃撃の案、紅丸の案、移宮の案という三つの重要な事件の収束が議論されていました。馮従吾は紅丸の案に関わったとされる李可灼の引退を許したことを批判し、梃撃の案で犯人を暴いた官僚を非難する者たちを奸臣であると主張しました。

馮従吾は、鄒元標とともに首善書院を設立し、時政を議論しました。これが給事中の朱童蒙に弾劾される要因となり、病を理由に引退を願い出ましたが、天啓帝に慰留されました。しかし、給事中の郭允厚と郭興治が相次いで鄒元標を非難したため、馮従吾は再び上奏して引退し、故郷へと戻りました。

1624年春、馮従吾は南京右都御史として起用されますが、上疏を行う前に北京に召還され、工部尚書に任命されました。しかし、趙南星や高攀龍が相次いで官を去ったことを受け、馮従吾も度々辞職を願い出ました。1625年秋、魏忠賢の仲間である張訥の上疏により、官籍から名前を削られました。以前から馮従吾を憎んでいた王紹徽が吏部尚書となると、喬応甲を陝西に派遣して馮従吾を攻撃する材料を探させましたが、何も見つけることができませんでした。そこで、書院を破壊し、先聖像を倒し、城の隅に投げ捨てさせました。

1627年、馮従吾は失意のうちに病を得て亡くなりました。享年52歳でした。1628年、官位を回復し、太子太保の位が追贈され、諡号は恭定とされました。

著作

馮従吾は、多数の著作を残しました。

『元儒考略』4巻
『疏草』1巻
『関学編』5巻
『馮子節要』14巻
* 『馮少墟集』22巻

これらの著作は、馮従吾の学識と思想を今に伝える貴重な資料となっています。

馮従吾は、その生涯を通じて、学問に対する情熱と不正を憎む強い意志を持ち続けました。彼の行動は、後世の官僚や学者たちに大きな影響を与えました。

もう一度検索