騎射三物

騎射三物とは

騎射三物（きしゃみつもの）は、武士の騎射稽古法として知られ、犬追物（いぬおうもの）、笠懸（かさがけ）、流鏑馬（やぶさめ）の三つを指します。これらの武術は、平安時代から鎌倉時代にかけて成立し、武士の戦闘技術の根幹をなすものとして発展しました。

騎射の起源と発展

武士の騎射戦法は、古代に蝦夷（えみし）が狩猟や戦闘で用いた騎乗技術に端を発すると考えられています。蝦夷は、大和王権との戦いの中で騎馬戦術を駆使し、その技術が帰服した蝦夷の俘囚を通じて和人に伝わりました。和人は、伝統的な長弓を騎乗で使いこなすように技術を磨き、これが武士の起源となりました。平安時代中期には、現在の和弓の形が確立しました。

平安時代には、騎馬が武士と郎党にのみ正式に許されるようになり、騎射は武芸の中でも最高位のものとみなされるようになりました。そのため、実戦的な訓練として騎射三物が盛んに行われるようになりました。時代を経て、これらは独立した競技や儀礼的な神事として発展し、それぞれに作法や規則が整備されていきました。

各種目の詳細

犬追物（いぬおうもの）

犬追物は、広さ約73メートルの四方の馬場に、36騎の騎手と審判、呼び出し役が配置され、150匹の犬を放って、騎手が走りながら犬を射る競技です。使用する矢は神頭矢と呼ばれ、刃がついていません。犬追物は、その手間や費用、動物保護の観点から、現在では行われていません。

笠懸（かさがけ）

笠懸は、左右、高低、大小と配置が変化する的を、騎手が馬を疾走させながら射抜く競技です。流鏑馬よりも難易度が高く、より実戦的な要素を含んでいます。

流鏑馬（やぶさめ）

流鏑馬は、約218メートルの直線馬場に、騎手の進行方向左手に3つの的を配置し、騎手が馬を全力疾走させながら、これらの的を連続して射抜く競技です。現在でも、日本各地で流鏑馬神事として行われています。

関連事項

弓術：弓を用いる武術の総称。
馬術：馬を操る技術。
弓道：弓術を基にした現代武道。
和弓：日本の伝統的な弓。
ゆがけ：弓を引く際に指を保護する道具。
巻狩：多数の人員で獣を包囲して行う狩猟。

外部リンク

小笠原流弓馬術礼法
社団法人大日本弓馬会
武田流弓馬道
流鏑馬競技連盟

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