騎都尉

騎都尉（きとい）は、中国の前漢時代以降に存在した官職です。

前漢

前漢においては、光禄勲（こうろくくん、別名：郎中令）に属し、秩禄は比二千石でした。宣帝の時代からは、羽林（うりん）という皇帝直属の近衛兵を、中郎将（ちゅうろうしょう）とともに監督する役割を担いました。また、西域都護（せいいきとご）を兼任する例もありました。西域都護は、西域地方の統治・防衛を司る重要な官職であり、騎都尉の職務範囲が広範であったことを示しています。

後漢

後漢においても、引き続き光禄勲に属し、秩禄は比二千石でした。前漢と同様の地位を保っていたと考えられます。

晋

その後も騎都尉という官職は存続しましたが、晋の時代になると、奉車都尉（ほうしゃとつい）、駙馬都尉（ふばとつい）と並んで「三都尉」と呼ばれるようになり、宗室（皇帝の一族）や外戚（皇后の一族）に与えられることが多くなりました。実質的な職務はほとんどなく、朝廷の集まりに参加するだけの名誉職へと変質していきました。

唐

唐の時代には、勲官（くんかん）の一つとなり、実質的な役割は完全に失われました。官僚としての実務を行う官職ではなく、功績のあった者に与えられる名誉称号のようなものになっていたと考えられます。

総括

騎都尉は、前漢時代には重要な役割を担っていましたが、時代が下るにつれてその重要性を失い、最終的には名誉職へと変化していきました。官職の変遷を通じて、中国の政治制度や社会構造の変化を垣間見ることができます。

出典

『漢書』巻19上百官公卿表上
大庭脩監修、漢書百官公卿表研究会『『漢書』百官公卿表訳注』、朋友書店、2014年。
『続漢書』（『後漢書』合刻）百官志二
『晋書』巻24職官志
* 『旧唐書』巻42職官志一

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