高儼

高儼（こう げん）について

高儼は558年から571年にかけて生きた中国の北斉の皇族であり、琅邪王として知られています。彼は武成帝の三男で、母親は胡皇后です。高儼はその生涯の中で多くの官職を歴任し、政治的な権力争いにも巻き込まれました。

経歴

高儼は初めて東平王に封じられ、さまざまな重要な役職を任されました。具体的には、開府、侍中、中書監、京畿大都督 、領軍大将軍、領御史中丞などを歴任し、さらには567年に尚書令に転任。続いて閏6月には尚書事を主管することになり、8月には司徒という高位の職に昇進しました。

568年には再び大将軍に転任し、569年には琅邪王に改封され、同年11月には大司馬の地位を獲得します。この一連の出世は彼の能力と知識が高く評価されていた証と言えるでしょう。しかし、兄の後主は高儼の聡明さや剛毅さが自らの地位に脅威をもたらすことを恐れ、何度もその権限を削ろうとし、権力争いが展開されました。

571年になると、後主は高儼を北宮に移し、朝廷への出席回数を制限し、母の胡太后との面会も制約しました。さらに、高儼の様々な官職からの解任を進め、兵権も剥奪しました。こうした事態に対し、高儼は和士開の専横を憎み、その暗殺を決意しました。

暗殺計画

高儼の側近である侍中の馮子琮は、後主を廃位して高儼を立てることを画策し、高儼は治書侍御史の王子宜に和士開の罪を弾劾させるよう指示しました。領軍の厙狄伏連に和士開を捕らえさせ、最終的に馮永洛によって和士開は斬首されます。高儼は当初、和士開の殺害を目論んでいましたが、事態は予想以上に混乱し、彼は京畿の軍士3000人を率いて千秋門に駐屯する事態となります。

後主の呼びかけにもかかわらず、高儼は入朝を拒否しますが、厙狄光の取りなしにより最終的に受け入れ、鄴の北城に幽閉されました。その後、彼の盟友たちは捕らえられ、厳罰に処せられました。高儼の母、胡太后は息子が毒殺されることを懸念し、与えられる食事を自ら試しましたが、一方で高儼の暗殺を促す人々もいました。

最期

後主は高儼を晋陽に移しましたが、571年9月下旬に呼び出され、高儼は劉桃枝によって命を絶たれることになります。彼の享年はわずか14歳でした。572年には鄴西に埋葬され、その後楚恭哀帝の諡号が贈られ、胡太后にも慰めの言葉が送られました。

人物・逸話

高儼はその若さにかかわらず多くの逸話が残されています。例えば、武成帝が并州に赴く際には、父を見送りに出るために鄴に留まる役割を果たしました。武成帝は後主に与えた物を高儼にも同様に与えていました。

また、彼は健康上の問題を抱えており、喉の持病に対処するために医者に針を打たせた際は、驚くほど耐え忍びました。高儼は非凡な人物であり、武成帝からもその聡明性を評価されていました。

妻子

彼の妻は李氏で、琅邪王妃として知られています。高儼の死後、李氏は楚帝后となり、再婚の後も語られることの多い歴史的な存在です。高儼には4人の男の子がいましたが、彼らは生まれて数ヶ月のうちに皆が亡くなってしまいました。平陽王高淹の孫である高世俊が後嗣となり、彼の名は今も語り継がれています。

もう一度検索