高宝

高宝（こう ほう）

高宝は、生年不詳ながら東晋初期に活躍した軍人です。彼の生涯は、反乱への参加、陶侃への帰順、そして最後は奸計による非業の死という、波乱に満ちたものでした。

生涯

高宝は元々、西晋に対して反乱を起こした杜弢に仕えていました。しかし、建興3年（315年）8月、寧遠将軍陶侃が長沙を攻略した際、毛宝や梁堪と共に捕らえられ、陶侃に帰順することとなりました。

永昌元年（322年）1月、平南将軍陶侃は、安南将軍甘卓が東晋朝廷に反乱を起こした大将軍王敦を討伐すると信じ、参軍に任じていた高宝に兵を与え、広州から武昌に向けて北上させました。これは、高宝に対する陶侃の信頼の厚さを示す出来事と言えるでしょう。

太寧元年（323年）6月、交州で暴政を敷いていた梁碩を討伐するため、陶侃は高宝を派遣しました。高宝は見事に梁碩を討ち取り、その首級を建康に送りました。この功績により、高宝の名声はさらに高まりました。

しかし、彼の運命はここで暗転します。吏部郎阮放は交州刺史の地位を求めていましたが、高宝の活躍を妬み、彼を陥れることを企てました。阮放は交州刺史に任じられると、寧浦で梁碩討伐から帰還途中の高宝を待ち伏せし、宴に誘いました。しかし、これは罠であり、高宝は宴に向かう途中で阮放が配した伏兵によって殺害されてしまったのです。

高宝の軍勢はこれに激怒し、阮放らを討ちましたが、阮放は敗走し交州の簡陽城に逃げ込みました。しかし、城内の水が枯渇したことと、高宝の祟りによって病に倒れ、そのまま病死するという末路を辿りました。高宝の死は、東晋の朝廷に大きな衝撃を与え、人々の間で長く語り継がれることとなりました。

脚注

『晋書』巻6、巻49、巻66、巻70
『資治通鑑』巻92

参考文献

『晋書』
『資治通鑑』

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