高柳先男

高柳先男

高柳先男（たかやなぎ さきお、1937年4月3日 - 1999年7月16日）は、日本の著名な政治学者であり、国際政治学、特に平和学の分野で多大な貢献をしました。愛知県出身で、中央大学法学部教授として長年教鞭を執り、多くの学生を育成しました。また、日本平和学会の会長も務め、平和研究の発展に尽力しました。

生涯

高柳先男は、1937年に愛知県で生まれ、1956年に愛知県立時習館高等学校を卒業後、中央大学に進学しました。1960年に中央大学法学部政治学科を卒業、1963年には同大学院法学研究科修士課程を修了しました。その後、博士課程に進みましたが、1966年に中退しています。指導教授は小松春雄でした。

大学院修了後は、中央大学法学部の助手としてキャリアをスタートさせ、1969年に助教授、1976年には教授に昇進しました。1979年には大学院法学研究科の教授にも就任し、教育と研究の両面で活躍しました。1981年にはエクス＝マルセイユ大学、1985年には社会科学高等研究院、1987年にはフランス国立科学研究センターで客員教授として海外での研究活動も行いました。

研究活動以外にも、1988年には中央大学社会科学研究所の所長、1990年には国際協力事業団フィジー国別評価調査団の団長を務めるなど、多岐にわたる活動を展開しました。また、1991年には司法試験第二次試験考査委員（旧司法試験）、1993年にはシェフィールド大学の客員教授、1994年には中央大学国際交流センター所長を歴任しました。1998年には再びエクス＝マルセイユ大学の客員教授として海外で研究を行いましたが、1999年、中央大学在職中に逝去されました。

研究内容

高柳先男の研究は、国際政治学、特に平和学に焦点を当てています。ヨーロッパの政治や国際関係、平和問題について深く考察し、その成果は多くの著書や論文にまとめられています。彼の研究は、理論的でありながらも、現実の問題に対する深い洞察を含んでおり、学術界だけでなく、社会に対しても大きな影響を与えました。特に、平和学の分野では、その先駆的な業績が評価され、後進の研究者たちに多大な影響を与えました。

受賞歴

1988年、高柳先男は『ヨーロッパの精神と現実』で毎日出版文化賞を受賞しました。この著書は、ヨーロッパの歴史、文化、政治を深く掘り下げたもので、彼の研究の集大成とも言える作品です。

著書

単著

『ヨーロッパの精神と現実』（勁草書房 1987年）
『パワー・ポリティクス――その原型と変容』（有信堂高文社 1991年）
『戦争を知るための平和学入門』（筑摩書房 2000年）

共編著

（関寛治共著）『同時代への視座――軍拡・デタント・第三世界』（三嶺書房 1985年）
（古城利明共編）『世界システムと政治文化』（有信堂高文社 1986年）
（吉沢四郎共編）『日本ODAの総合的研究――タイにおける事例』（中央大学出版部 1995年）
『ヨーロッパ統合と日欧関係』（中央大学出版部 1998年）
『ヨーロッパ新秩序と民族問題』（中央大学出版部 1998年）
（阿部齊・内田満共編）『現代政治学小辞典』（有斐閣 1999年）

訳書

A・F・K・オーガンスキー『政治発展の諸段階』（福村出版 1968年）
ディーター・ゼングハース『軍事化の構造と平和』共編訳（中央大学出版部 1986年）
ヨハン・ガルトゥング『90年代日本への提言――平和学の見地から』共訳（中央大学出版部 1989年）
ヨハン・ガルトゥング『平和への新思考』（勁草書房 1989年）
ヨハン・ガルトゥング『構造的暴力と平和』共訳（中央大学出版部 1991年）
* アントニー・D・スミス『ナショナリズムの生命力』（晶文社 1998年）

高柳先男は、国際政治学、平和学の分野で数多くの業績を残し、学術界に大きな足跡を残しました。彼の研究は、今日においても重要な意義を持ち続けています。

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