高浜駅 (愛媛県)

高浜駅は、愛媛県松山市高浜町1丁目に位置する伊予鉄道高浜線の終点駅です。この路線の最も海側に位置し、駅番号はIY01が割り当てられています。松山市中心部と瀬戸内海を結ぶ高浜線において、海の玄関口へのアクセスを担う重要な駅としての役割を果たしています。

歴史

この駅は、伊予鉄道の歴史の中でも比較的早い段階で開業しました。1892年（明治25年）5月1日に初代の駅が開設され、その後1905年（明治38年）1月10日には、現在の場所へと約500メートル北に移転しました。近代の出来事としては、2015年（平成27年）に列車の発着を知らせるメロディが「リズム」という楽曲に変更されています。

駅構造

高浜駅は地上駅であり、現在も駅係員が配置されている有人駅です。旅客が利用できるホームは一本のみの単式ホーム（1面1線）ですが、列車の留置に使われる側線も設けられています。かつては相対式のホームが二本（2面2線）存在した時期もありましたが、現在の構造に改められました。昼間帯には、ラッシュ時に編成を長くするための車両が、この側線に停め置かれている様子が見られます。

駅舎

駅舎の建築時期については、資料によって記述が分かれており、正確な建設年は明らかではありません。一説には、駅が現在の位置に移転した1905年（明治38年）に建てられたとするものと、昭和初期以降に一度建て替えられたとするものがあり、伊予鉄の公式サイトでも両方の説が併記されています。この駅舎には、惜しくも2008年に解体された旧三津駅の駅舎と同様に、屋根の一部にアール・ヌーヴォー調の装飾が施されているのが特徴です。ただし、駅の西側部分は後に壁が塗り替えられたため、現在もこのデザインが確認できるのは主に東側部分のみとなっています。また、この趣ある駅舎は、2013年に公開された人気映画『真夏の方程式』のロケ地として使用され、劇中では「玻璃ヶ浦駅」という名前で登場しました。

駅舎の外には駅売店があり、弁当や飲み物、雑誌類などを販売しています。この売店は、近隣の忽那諸島などの島々には書店がない場所もあることから、通常の駅売店に比べて書籍や雑誌の取り扱いが多いという特徴を持っています。

利用状況

駅の利用状況を見ると、2008年度のデータでは一日あたり約1,500人の乗降客数がありました。これは1998年度の約2,200人と比較すると顕著な減少であり、伊予鉄道高浜線内の駅としては、この期間における減少数・減少率が最も大きい駅でした。しかしながら、ここ数年は減少傾向に歯止めがかかり、横ばい、あるいはわずかながら増加に転じるなど、利用回復の動きが見られます。

駅周辺と交通結節点

高浜駅は、鉄道と船舶を結ぶ重要な交通結節点としての役割を担っています。駅前の道路を挟んで目の前には高浜港があり、ここからは興居島や忽那諸島、中島方面へ向かうフェリーや高速船が発着しています。駅の正面からは、船が接岸する桟橋や、車両を積み下ろしする可動橋の様子を見ることができます。

さらに、駅の北口には松山観光港への連絡バスのりばがあります。松山観光港は駅から県道沿いに約600メートル北に位置し、広島、呉、小倉方面へのフェリーや高速船（高速船は広島・呉方面のみ）が発着する四国の主要な港湾の一つです。駅構内とは連絡通路で結ばれており、バスを利用することで、スムーズに港へ移動できます。

隣の駅

伊予鉄道高浜線における、高浜駅 (IY01) から松山市駅方面に向かう隣駅は梅津寺駅 (IY02) です。また、鉄道駅ではありませんが、高浜駅北口から連絡バスが運行されている松山観光港にも、伊予鉄グループ内で駅番号（IY00）が付与されており、高浜線の実質的な起点を示すような位置づけとなっています。

高浜駅は、その歴史ある駅舎の風情と、周辺の港との連携による交通結節点としての機能という、二つの側面を持つ個性的な駅として、利用者や地域住民、そして観光客に利用されています。

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