高田富之

高田 富之（たかだ とみゆき）

高田富之は1912年3月26日に埼玉県深谷市で生まれ、1999年10月14日に亡くなった日本の政治家です。彼は実業家の高田良平を父に持ち、旧制松江高等学校を卒業後、1937年に東北帝国大学法文学部を修了しました。その後、東北大学法文学部の経済学教室で宇野弘蔵に学び、副手としてのキャリアをスタートさせました。

経歴

高田は、繊維需給調整協議会調査課長や全国商工経済会企画部主事、日農県連会長、全国連書記長などの要職を歴任しました。しかし、人民戦線事件により宇野とともに逮捕されるも、起訴猶予となります。

戦後、高田は日本共産党に入党し、1949年の第24回衆議院議員総選挙で埼玉3区から当選を果たしました。彼の政治経験はその後も続きましたが、1951年に共産党が武装闘争を掲げる51年綱領を発表したことが影響し、翌年の第25回衆議院議員総選挙では共産党全体が落選する結果となり、高田も議席を失いました。

その後、高田は共産党に対する反対の意志を示し、自ら脱党。続いて左派社会党に入党しました。1958年の第28回衆議院議員総選挙で再び当選し、日本社会党の国会議員として1983年まで活動を続けました。彼の当選回数は通算で10回にのぼります。

高田は、革新系の政治家として衆議院災害対策特別委員会や決算委員会の各委員長を務め、社会党の衆参両院議員総会長としても知られる存在でした。彼の政治に対する情熱と献身的な活動は、多くの人々に影響を与えました。

著書

高田富之は、政治活動の傍ら、多くの著作を残しています。代表的な著書には以下のものがあります。

• - 『日本における社会主義の基礎理論』（1961年、深谷支部教宣部）
• - 『日本の社会主義』（1962年、日本社会党機関紙局）
• - 『日本農業と構造改革』（1962年、日本社会党機関紙局）
• - 『私の社会民主主義』（1982年）

これらの著作は、彼の思想や政治的見解を深く理解するための重要な資料となっています。

受賞

高田は、その功績に対して深谷市名誉市民に顕彰され、また勲一等瑞宝章を受賞しました。彼の生きざまと業績は今も多くの人々に影響を与え続けています。高田富之は政治家としての役割を果たすだけでなく、その後の社会の形成にも重要な役割を果たした人物です。彼の残した足跡は、今後も語り継がれることでしょう。

参考文献

彼に関する情報は、帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版 北海道・奥羽・関東・中部篇』（1943年）などに見られます。また、彼の子息が設立した私設資料館「瑞宝館」も、彼の生涯を知る貴重な場所となっています。

もう一度検索