高畠正明

高畠正明（たかばたけ まさあき）は、1932年1月5日に東京で生まれ、1980年5月30日にその生涯を閉じた日本のフランス文学者、翻訳家です。洋画家である高畠達四郎を父に持ち、妻は津村秀夫の娘という家庭環境で育ちました。

学歴と職歴

高畠正明は、1954年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、文学部仏文科に学士入学しました。その後、1961年には同大学の仏文科大学院博士課程を単位取得満期退学。文学部助手として教職のキャリアをスタートさせ、1965年に専任講師、1970年には助教授へと昇進しました。1976年から1978年までの間にはフランスへ留学し、研究に励み、帰国後の1979年には教授に就任しました。

研究と翻訳

高畠正明は、アルベール・カミュをはじめとする19世紀の詩人、特にシャルル・ボードレールの研究に情熱を注ぎました。その研究成果は、講義や著作、翻訳を通して多くの人々に影響を与えました。彼の翻訳作品には、カミュの著作が多数含まれており、その翻訳は今日においても高く評価されています。

著作

高畠正明は、研究者としてだけでなく、作家としてもいくつかの著作を世に送り出しました。主な著作には、『若き日のカミュ』や『アルベール・カミュ』などがあります。これらの著作では、カミュの思想や生涯について深く掘り下げて考察しています。

• - 『若き日のカミュ』（サンリオ山梨シルクセンター出版部、サンリオ選書） 1971
• - 『アルベール・カミュ』（講談社現代新書） 1971
• - 『高畠正明作品集』（イザラ書房） 1982

翻訳

翻訳家としての高畠正明は、フランス文学の傑作を数多く日本語に翻訳しました。特に、カミュの作品の翻訳は、彼の研究と並んで重要な業績です。その翻訳は、原著のニュアンスを忠実に伝えつつ、日本語として自然で読みやすいものとして評価されています。

• - 『クレーヴの奥方』（ラファイエット夫人、東西五月社、フランス文学全集） 1960
• - 『カミュの手帖』第1 - 2（新潮社） 1962 - 1965、のち文庫
• - 『現代フランス小説史』（クロード・エドモンド・マニー、佐藤朔, 白井浩司, 菅野昭正, 望月芳郎, 若林真, 清水徹, 渡辺一民共訳、白水社） 1965
• - 『至上の愛』（ヴィリエ・ド・リラダン、中央公論社、世界の文学） 1966
• - 『カミュ』（モルヴァン・ルベック、人文書院、永遠の作家叢書） 1967
• - 『裏と表 / 結婚』（カミュ、新潮世界文学） 1968
• - 『トリスタン・ツァラ』（新潮社、世界詩人全集） 1969
• - 「選り抜きの女たち」（ジロドゥ、筑摩書房、世界文学全集58『ドリュ・ラ・ロシェル / ジロドゥ集』） 1970
• - 『ボードレール』（ビュトール、竹内書店、AL選書） 1970
• - 『カミュ』（アンドレ・ニコラス、新潮社） 1970
• - 「カミュ全集」全10巻（佐藤朔共編、新潮社） 1972 - 1973

- 『カミュ全集01 - アストゥリアスの反乱・裏と表・結婚』
- 『カミュ全集02 - 異邦人・シーシュポスの神話』
- 『カミュ全集03 - カリギュラ・誤解・ドイツ人の友への手紙』
- 『カミュ全集04 - ペスト』
- 『カミュ全集05 - 戒厳令・正義の人びと』
- 『カミュ全集06 - 反抗的人間』
- 『カミュ全集07 - 十字架への献身・精霊たち・夏』
- 『カミュ全集08 - ある臨床例・転落』
- 『カミュ全集09 - 尼僧への鎮魂歌』
- 『カミュ全集10 - 追放と王国・悪霊』

• - 『幸福な死』（カミュ、新潮社） 1972、のち文庫
• - 『Delacroix』（美術出版） 1973
• - 『直観』(カミュ、新潮社、Cahiers Albert Camus） 1974
• - 『アメリカ・南米紀行』（カミュ、新潮社） 1979.9

早逝

高畠正明は、その才能と情熱を惜しまれながら、50歳を前にして早逝しました。しかし、彼の残した業績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

参考文献

「高畠正明作品集」年譜

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