高縄石

高縄石（Takanawaite-(Y)）

高縄石は、2013年に発表された日本の新しい鉱物で、その化学組成はY(Ta,Nb)O4となっています。結晶系は単斜晶系です。この鉱物は、東京大学の鉱物学者である浜根大輔の研究チームによって、愛媛県松山市に位置する高縄山の花崗岩から発見されました。その名称は、発見された山の名前に由来しています。

特徴と性質

高縄石は主に褐色の板状結晶として存在し、単結晶または放射状に集まった群晶として産出されます。モース硬度は5.5であり、これは鉱物の硬さを示す指標です。また、ガドリン石やジルコンを伴うことも多いです。特に、この鉱物は放射性元素を含んでおり、そのためにメタミクト化という現象が見られ、非晶質な状態になることがあります。しかし、加熱処理を行うことで、その結晶構造が元に戻り、単斜晶系のM相として確認されます。

見た目がジルコンに似ている点も特徴的ですが、相違点として、ジルコンは棒状結晶を形成するのに対し、高縄石は板状結晶であることが挙げられます。さらに、β-フェルグソン石（Fergusonite-beta）は、タンタルの含有比がニオブに優越したものであり、岩代石（Iwashiroite-(Y)、単斜晶系のM'相）やフォーマン石（Formanite-(Y)、正方晶系）、イットロタンタル石（Yttrotantalite-(Y)、斜方晶系）などと似た性質を持っていると言われています。しかし、フォーマン石とイットロタンタル石に関しては合成実験ではその存在が確認されておらず、現在のところそれらの構造や組成については明確なデータが不足している状況です。

発見の経緯

高縄石の発見には興味深い逸話があります。2001年の芸予地震の際、高縄山のペグマタイトが崩落し、その瓦礫の中からガドリン石と共に新しい鉱物が発見されました。浜根は当時愛媛大学に所属しており、この鉱物をフォーマン石と考えて2002年に報告しました。しかし、2011年に東日本大震災を受けて、浜根はこのフォーマン石を改めて再検討しました。その結果、新しい鉱物であることが分かり、申請が行われ、2012年にはその承認を得ました。

まとめ

高縄石は日本の地質において重要な新鉱物であり、その発見は科学的研究の一環としても注目されています。本鉱物の特徴的な性質や発見の過程は、今後の研究にも影響を与えることでしょう。日本の新鉱物としての存在は、鉱物学における多様性や知られざる要素を示す一例となっています。

脚注

• - 日本産新鉱物に関する情報を集めた資料があります。

参考リンク

• - Takanawaite-(Y) - 高縄石に関する外部リンク

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