高見山宗五郎

高見山宗五郎

明治時代に活躍した大相撲力士、高見山宗五郎（たかみやま そうごろう）は、1851年3月12日（嘉永4年2月10日）、上総国山辺郡（現在の千葉県山武郡九十九里町）の出身です。本名は今関 宗次郎。身長170cm、体重79kgと現代基準では小兵ながら、最高位は関脇まで昇進しました。

略歴

高見山は、地元の宮相撲で千鳥ヶ崎の四股名で活躍していました。当時、東京相撲を除名され、独自の団体「改正組」を結成して活動していた同郷の初代高砂浦五郎の勧誘を受け、響矢宗五郎として改正組に加わります。

1878年（明治11年）5月、東京相撲会所と高砂との間で和解が成立。響矢の東京相撲への加入にあたり、会所側が幕下格を提案したのに対し、高砂は幕内格を強く主張しました。結果として高砂の主張が通り、響矢は別番付ながら幕内格付出しという異例の待遇で初土俵を踏むことになります。

この頃、相撲会所との合併交渉に師匠の高砂と共に尽力したため、響矢は十分な稽古ができていなかったとされます。しかし、師匠の期待に応えようと奮闘し、この場所で6勝1敗1分という見事な成績を収め、優勝に相当する活躍を見せました。これは師匠高砂の面目を施す快挙でした。

1882年（明治15年）、響矢は小結への昇進を機に、高砂が現役時代に名乗っていた四股名を受け継ぎ、高見山宗五郎と改名します。

小柄な体格ながらも、高見山は捻りや引き技といった巧みな相撲技術を駆使し、幕内で活躍しました。特に1884年（明治17年）5月場所の8日目には、当時の大横綱であった梅ヶ谷藤太郎を引き落としで破るという大殊勲を挙げています。この一番は、梅ヶ谷が現役中に喫した最後の黒星としても歴史に残っています。翌1885年（明治18年）1月場所では最高位となる関脇に昇進し、三役の地位で確かな存在感を示しました。

年寄・協会運営

1888年（明治21年）5月、高見山は現役中のまま年寄名跡である5代阿武松緑之助を襲名し、二枚鑑札となります（四股名も阿武松に改名）。翌1889年（明治22年）5月場所限りで土俵を去り、年寄専務として協会運営に専念するようになりました。

引退後は、師匠である初代高砂浦五郎を補佐する参謀役として、高砂部屋の運営や協会の組織改革に深く関わりました。また、勝負検査役としても土俵下で重要な役割を担いました。

育成者としても手腕を発揮し、内弟子であった後の大横綱初代小錦八十吉をはじめ、浪ノ音健藏、高見山酉之助、若湊義正、綾川五郎次といった多くの優れた力士たちを育て上げました。

1898年（明治31年）1月、病に倒れた師匠初代高砂に代わり、東京大相撲協会の取締に就任。実質的に協会のトップとして運営を担います。1900年（明治33年）4月に師匠高砂が死去すると、高見山は2代高砂浦五郎を襲名。名実ともに協会を代表する存在となり、大相撲界の重鎮としてその発展に尽力しました。

強引な運営で多くの反発も招いた初代高砂とは対照的に、高見山は温厚で誠実な人格者として知られ、関係者からの厚い信望を集めました。その人柄と手腕により、協会の安定運営に貢献したと評価されています。

1909年（明治42年）、長年の悲願であった相撲常設館（旧両国国技館）の完成を見届けた後、協会の取締役を辞任しました。その後は別格年寄、すなわち相談役のような立場で協会に貢献し続けました。

1914年（大正3年）7月4日、63歳でその生涯を閉じました。

成績

幕内在位：23場所
通算成績：65勝59敗28分7預71休
最高位：関脇
優勝相当成績：1回（1878年5月場所）

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