高麗山

高麗山（こまやま）

神奈川県平塚市と大磯町に位置する高麗山は、大磯丘陵の東端にそびえる標高168mの山です。この山は、広葉樹の自然林が豊かに残されており、「21世紀に残したい日本の自然100選」にも選ばれています。一帯は県有林として保護されており、高麗山県民の森として親しまれています。歌川広重の『東海道五十三次』にもその姿が描かれ、古くから人々に親しまれてきたことがうかがえます。

歴史

地元では高麗寺山とも呼ばれていたように、江戸時代まで高麗寺という寺院が山中に存在しました。現在の高来神社も、当時は高麗神社として寺内にありました。高麗寺は、高句麗からの渡来人である高麗若光を祀った古い寺院とされていますが、室町時代には戦火により荒廃しました。しかし江戸時代には、徳川家によって上野寛永寺の末寺とされ、東照宮が置かれたことで再び隆盛を取り戻しました。

しかし、明治時代に入ると、徳川家の色が濃い寺院として明治政府によって廃寺とされ、廃仏毀釈により堂塔は破壊されました。その中で、高麗神社だけが残り、高来神社と改名されて現在に至ります。高麗寺が存在した頃には、山頂の大堂、西側の西天照（現在の八俵山）、東側の東天照の三つを「三権現」と呼び、その名残は今も山中に残っています。江戸時代には、高麗寺の領地は高麗寺村として独立した村となっていました。

地名の由来

高麗山の名前は、高麗寺山が変化したものです。この地には、7世紀に滅亡した高句麗からの亡命者が定住し、寺院を建立したことが地名の由来であるという説が有力です。この説を裏付けるように、付近の古墳群から出土した装飾品や、山の南側に「もろこしが原」（現在は唐ケ原）という地名が残っています。「もろこしが原」は、菅原孝標女が『更級日記』で「大和撫子が咲いている」と記述した場所とされています。この地に定住した大陸からの移住者は、その後、現在の埼玉県にあった高麗郡に移住しました。埼玉県日高市には、高麗神社と高麗山聖天院があり、どちらも高麗若光に縁がある寺社です。

虎女の伝説

高麗山周辺には、虎女の伝説が残されています。虎女とは、富士の裾野での仇討ちで有名な曽我物語に登場する虎御前のことで、晩年には高麗寺の近くに住んでいたと伝えられています。

ハイキング

高麗山一帯は、高麗山県民の森として整備されており、約500種もの植物が生息する自然の宝庫です。湘南平から高麗山へのハイキングコースは、市民に親しまれています。湘南平までバスや車を利用すれば、高麗山の山頂までは徒歩で30分程度で到達できます。また、高来神社から山頂を目指し、湘南平、大磯へと縦走するコースも人気です。散策路にはテーブルやベンチが設置されており、気軽に自然を楽しむことができます。

関連項目

湘南平
高来神社
日本の地理
高麗

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、高麗山に関するカテゴリがあります。
高麗山県民の森「森林植生変遷史」 - 神奈川県ホームページ

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