魔人ハンター ミツルギ

魔人ハンター ミツルギ

『魔人ハンター ミツルギ』は、1973年の1月8日から3月26日にかけて、毎週月曜夜7時からフジテレビ系列でオンエアされた特撮テレビ番組です。全12話が製作され、国際放映が制作を担当しました。

宇宙からの脅威とミツルギ一族

物語の舞台は、徳川家康公が将軍として天下を治める江戸時代初期。この時代に、遠くさそり座から飛来した異星の侵略者、サソリ魔人率いる宇宙忍者サソリ軍団が、地球征服を目論んでいました。彼らは恐るべき妖術と巨大な宇宙怪獣を操り、日本の支配を目論みます。

この未曾有の危機に対し、古来より密かに日本の平和を守り続けてきたミツルギ一族が立ち上がります。一族の長老である道半は、若き三兄妹――冷静沈着な長男・銀河、勇猛果敢な次男・彗星、心優しき末妹・月光に、それぞれ「智」「仁」「愛」の精神を宿した秘伝の刀を授け、宇宙からの侵略者と戦う使命を与えます。

三兄妹は、この秘刀を天にかざして力を結集することで、正義の巨大神ミツルギへと姿を変えます。身長数十メートルにもなる巨大な神となった彼らは、サソリ魔人が送り出す巨大怪獣たちと激しい死闘を繰り広げることになります。

独特のアニクリエーション技法

本作の特筆すべき点は、巨大神ミツルギと怪獣とのバトルシーンに、当時としては画期的だった「アニクリエーション」と呼ばれる人形アニメーションの技術を導入したことです。これは日本のテレビヒーロー特撮においては極めて珍しい試みでした。しかし、週ごとの放送という厳しい制作スケジュールの中、全ての巨大戦シーンをストップモーションアニメで撮り切るのは困難であり、実際には人形を直接手で動かして撮影する手法も多用されました。特に番組後半のエピソードでは、この傾向がより顕著に見られます。人形撮影のために、製作会社のスタジオには専用の撮影スペースが設けられていました。

時代劇とSFの融合、そして評価

江戸時代を舞台としながらも、主人公であるミツルギ三兄妹のコスチュームは非常にユニークでした。彼らは現代的なヘルメットを被り、胸には手榴弾、腰には金属製のベルトを装着するなど、時代考証を意図的に無視したかのような斬新なデザインです。巨大神ミツルギのデザインも、和風の武神像というよりは、当時流行していたロボットのような外見をしていました。放送開始当時の新聞記事では、人形劇特撮という設定の斬新さは評価されたものの、宇宙人が徳川家康を狙うといった物語に多くの要素を盛り込みすぎている点については批判的な意見も見られました。

全12話という短い期間で放送を終え、一般的にはあまり知られていない作品ではありますが、その独特な世界観、特撮における新たな表現手法への挑戦、そして後に人気バラエティ番組で取り上げられたことなどから、熱心な特撮ファンの間ではカルト的な人気を博しています。また、話数が少ないことから、作品全体が比較的早い段階でビデオ化、レーザーディスク化、そして複数回のDVD化が実現しており、現在でも比較的容易に鑑賞することが可能です。

登場キャラクターと敵対勢力

主人公のミツルギ三兄妹を演じたのは、水木襄（銀河役）、佐久間亮（彗星役）、林由里（月光役）です。彼らを導く長老道半には緒方燐作、狙われる徳川家康を奥野匡、協力者となる服部半蔵を大木正司が演じました。番組の語り手は伊武正己が務めています。

敵であるサソリ軍団を率いるのは、即身仏のような不気味な姿をした魔人サソリです。彼は宇宙の妖術を自在に操り、「徹底的に〜」が口癖という個性的なキャラクターで、最終回で三兄妹との激戦の末に敗れ去ります。魔人サソリの配下であるサソリ忍者は、顔を包帯で覆った姿をしています。当初はリーダー格と一般兵士の区別がつきにくかったため、物語の途中からリーダーは識別可能なマスクを着用するようになりました。

サソリ軍団の主戦力となる宇宙怪獣は、毎話一体ずつ、計12体が登場しました。これらの怪獣は、三兄妹やサソリ忍者との戦闘後に姿を現すことが多く、サソリ軍団の作戦の鍵となる存在もいました。制作側の事情から、安定した着地が可能なデザインが多く採用されたようです。怪獣の造形物は一体ずつのみ製作され、劇中で破壊されるシーンでは実際に燃やされたものもありました。

オープニングとエンディング

番組の主題歌は、オープニング「走れ!嵐の中を」と挿入歌として使用された「風のうわさ」です。これらは後に作曲家として知られる水上勉が作曲と歌唱を手掛けました。水上は、作品の雰囲気に合わせ、琵琶の音を取り入れた「和風ウェスタン調」を目指したと語っています。当初は別の歌手が歌う予定でしたが、レコーディングの都合で水上自身が歌うことになったというエピソードがあります。

このように、『魔人ハンター ミツルギ』は、短い放送期間ながら、時代背景、ヒーローデザイン、そして特撮技法において独自の道を歩んだ作品として、特撮史にその名を残しています。

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