鮎沢伊太夫

鮎沢伊太夫（あいざわ いだゆう / あゆさわ いだゆう）

鮎沢伊太夫は、幕末の水戸藩士であり、尊王攘夷運動に身を投じた志士です。元は高橋諸往の次男として生まれ、高橋多一郎の弟にあたります。

生涯

鮎沢家の養子となり家督を継いだ伊太夫は、若い頃から文武両道に秀でており、水戸藩の教育機関である弘道館で舎長を務めました。弘化年間には、前藩主である徳川斉昭の謹慎解除のために奔走し、その結果禁錮されるという苦難も経験しました。しかし、斉昭の復権後はその才能を認められ、藩の勘定奉行に抜擢されるなど、重用される存在となります。

安政5年（1858年）に将軍継嗣問題が勃発すると、伊太夫は水戸藩の代表として京都との間を頻繁に往復し、藩の活動に尽力しました。戊午の密勅が水戸藩に下されると、その内容を諸藩に伝えるべきだと藩内で主張しました。

京都では、尊王攘夷を唱える多くの志士たちと交流を深めました。薩摩藩から有馬新七が上洛した際には、上京初日に面会し、薩摩藩士らと夜通し酒を酌み交わしながら、尊攘の理想について語り合ったと伝えられています。しかし、これらの行動が幕府の知るところとなり、安政の大獄によって島流しの判決を受けました。しかし、刑の執行前に桜田門外の変が起こり、大老井伊直弼が暗殺されたことで、豊後佐伯藩に預けられることとなります。文久の改革によって赦免されると京都に戻り、再び尊皇攘夷の志士たちと交流を重ねました。

帰藩後、元治元年（1864年）に武田耕雲斎が挙兵すると（天狗党の乱）、これに加わって西上しますが、途中で隊を離れ、京都の大徳寺に潜伏し、正義派の勢力回復を画策しました。

戊辰戦争が勃発し、朝廷から諸生党追討の勅諚が下されると、明治元年（1868年）3月に水戸に帰還。その後、奥羽征伐に従軍しました。同年10月、諸生党の藩士たちが水戸城を襲撃する事件（弘道館戦争）が発生。伊太夫は少数 troops で防戦に努め、奮戦しましたが、遂に力尽き戦死しました。享年45歳。

明治31年（1898年）には、その功績が認められ、従四位を追贈されました。

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