鳳谷五郎 (横綱)

鳳谷五郎 - 相撲界の巨星

鳳谷五郎（おおとり たにごろう、1887年4月3日 - 1956年11月16日）は、千葉県印旛郡大森村（現在の印西市大森）出身の著名な大相撲力士であり、第24代横綱として知られています。現役引退後も、年寄として相撲界に貢献し続けました。本名は瀧田 明（たきた あきら）です。

生い立ちと相撲の道

鳳谷五郎は、千葉県の米屋「米庄」を営む家庭に生まれ育ちました。父親の滝田丹治は相撲好きで、玉垣部屋に入門したものの、仕事を継ぐために廃業しました。父の影響を受けた明も相撲への情熱を抱くようになりましたが、父の廃業後も田舎相撲に熱心に参加してしまい、経済的な困難に直面しました。家業を支えるため、父親は明を船橋の呉服屋へ奉公に出しましたが、明は相撲の道を志して帰郷し、同郷の鳳凰馬五郎に声をかけられ、入門を果たしました。

力士になるためには、当時設定されていた体格基準をクリアする必要があり、一度は諦めかけましたが、谷ノ音喜市や大見嵜八之助の助けを得て合格を果たします。入門後は厳しい稽古に励み、小柄な体格を補う技術を磨きました。初土俵を踏んだのは1903年の5月場所でした。

相撲での活躍

デビュー以来、名前は「大鳥」として知られ、1908年には「鳳谷五郎」に改名しました。1909年には新入幕を果たし、國技館開館前最期の幕内力士の一人となります。初日にはいきなり強敵と組まれましたが、その勝利から快進撃が始まりました。彼は二度三役に昇進するも、残念ながら続かず、1912年には関脇として素晴らしい成績を残しました。

1913年に大関に昇進し、初優勝を手に入れた後、1915年には全勝優勝も達成しました。しかし、横綱昇進後は病気や怪我に悩まされ、ついには1919年に皆勤負け越しという不名誉な記録を受けることとなります。引退は1920年とし、形的な引退相撲や断髪式は行われませんでした。

引退後の活動

引退後、彼は年寄「宮城野」を襲名し、自らの部屋を開き後進の指導に尽力しました。特に古賀ノ浦茂など多くの弟子を育て、角界に多くの新しい若手力士を送り出しました。戦時中に脳卒中を患ったものの、彼は静かな生活を送りながらも弟子たちからの信頼を受け続けました。

1947年、60歳を迎えた際、日本は戦後の復興過程にあり、本場所開催も困難な状況でした。そのため、彼の還暦土俵入りは実現せず、横綱の象徴である赤い綱も贈られたかどうかは定かではありません。1956年11月16日に脳出血により69歳で他界しました。

鳳谷五郎の技と影響

鳳谷五郎は非常に多彩な技を持っており、特に内掛けを使った掛け投げを得意としていました。この技から、「ケンケン」といった愛称がつけられました。しかし、彼の横綱昇進後、足の負傷が影響し、徐々に技のキレは失われていきました。

現役時代から酒豪としても知られ、時には酒の席で横綱土俵入りの時間が来ることもあったとされています。それでも、彼の人柄と力士としての業績は後世に語り継がれています。

富と文化

千葉県出身の力士として、鳳は地域の誇りでもありました。1917年には、千葉出身力士の数が70人と、当時の相撲界でも注目される存在でありました。彼の活躍は、地域の相撲文化をさらに盛り上げたことでしょう。

彼の死後、名跡「宮城野」は第43代横綱・吉葉山に譲られ、彼の影響は今でも相撲界に残っています。相撲を愛し続けた鳳谷五郎の足跡は、相撲界の歴史に深く刻まれています。

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