鵜飼克雄

鵜飼 克雄（うかい かつお）

1947年10月20日、徳島県徳島市に生まれる。プロ野球選手として主に投手として活躍した。

高校・大学時代

地元の徳島商業高校に進学し、野球部に所属。当時は主に一塁手、五番打者としてチームの主軸を担った。1965年には春夏の甲子園大会に連続で出場。特に春の第37回選抜高等学校野球大会では、エースとして後にプロ野球界を代表する投手となる鈴木啓示選手を擁する育英高校を2回戦で破るなど快進撃を見せ、準決勝まで勝ち進んだ。準決勝では、こちらも後にプロで活躍する平松政次選手がエースを務める岡山東商業高校に惜しくも完封負けを喫したが、その活躍は注目を集めた。同年夏の第47回全国高等学校野球選手権大会にも出場したが、こちらは2回戦で岩崎忠義選手らを擁する津久見高校に敗れている。

高校卒業後、同志社大学へ進学し、硬式野球部に入部。大学では、当時の監督であった渡辺博之氏の指導のもと、それまでの野手から本格的に投手へと転向するという大きな転機を迎える。関西六大学野球リーグにおいては、チームは下位に低迷していたものの、鵜飼は投手としてチームの立て直しに尽力。リーグ通算で48試合に登板し、10勝16敗という成績を残した。防御率は3.03、奪三振数は132を記録している。

社会人・プロ野球時代

大学卒業後は、社会人野球の強豪である四国電力に進み、プレーを続けた。

1973年秋に行われたプロ野球ドラフト会議で、大きな注目を浴びることとなる。当時、球団が日拓ホームから日本ハムに売却され、「日本ハムファイターズ」として新たなスタートを切ったばかりの球団から、栄えある初代ドラフト1位指名を受けたのである。鵜飼はこれを受諾し、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせた。

プロ入り1年目の1974年には、その独特なノーワインドアップ投法を持つ変則左腕として、オープン戦から注目を集めた。入団前には社会人野球界屈指と評されたストレートに加え、鋭く曲がるカーブやシュートも武器として期待値は高かった。

公式戦でも登板機会は与えられたものの、プロの壁は厚く、期待通りの成績を挙げるには至らなかった。同年9月29日、後楽園球場で行われた南海ホークスとのダブルヘッダー第2戦では先発投手を務めたが、この試合は日本ハムが「1イニングごとに投手を交代させる」という前代未聞の奇策を用いたことで知られており、先発した鵜飼を含め、この試合では実に10人の投手が起用された。また、この試合では高橋博士選手が1試合で全ポジションを守るという、史上初の珍記録も達成されている。

続く2年目の1975年、8月22日の近鉄バファローズ戦で、プロ入り後初めての勝利を挙げた。しかも、この勝利は自身にとって最初で最後の完封勝利という素晴らしい内容だった。しかし、この一戦を除くと成績は振るわず、翌1976年には一軍での登板機会がなかった。

1977年シーズンからは、佐伯和司、久保俊巳といった主力選手らを含む大型トレードの一員として、皆川康夫、新美敏、内田順三選手と共に広島東洋カープへ移籍した。しかし、広島では怪我に見舞われるなど不運が重なり、残念ながら一度も一軍での登板機会を得られないまま、同年オフに現役生活にピリオドを打った。

引退後

現役引退後は、生まれ故郷である徳島市へ戻り、ご実家が経営されている製菓会社（有限会社 鵜飼製菓）の取締役社長に就任した。経営者として活躍される傍ら、地元で活動する少年野球チーム「佐古愛日野球クラブ」で子供たちの指導にあたるなど、野球振興にも貢献している。

詳細情報

背番号
34 （1974年 - 1976年、日本ハム）
12 （1977年、広島）
記録
初登板：1974年4月9日、対阪急ブレーブス前期1回戦（藤崎台県営野球場）
初奪三振：1974年4月10日、対阪急ブレーブス前期3回戦（藤崎台県営野球場）
初先発：1974年4月19日、対南海ホークス前期1回戦（大阪スタヂアム）
初勝利・初完投勝利・初完封勝利：1975年8月22日、対近鉄バファローズ後期5回戦（草薙球場）

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