鶏頂山

鶏頂山（けいちょうざん）

鶏頂山は、栃木県日光市に位置する標高1,765mの火山です。日光国立公園内にあり、日本三百名山の一つである高原山を構成する山の一つとして知られています。山頂には鶏頂山神社があり、古くから信仰の対象として大切にされてきました。

特徴

鶏頂山は、高原山釈迦ヶ岳火山群の一峰であり、山頂は日光市にあります。山頂には鶏頂山神社があり、信仰を集めてきました。西側には枯木沼があり、湿原が広がります。北西側には大沼や弁天沼といった沼が点在しています。東南側は釈迦ヶ岳火山群の御岳、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳へと連なっています。南西麓にはかつてエーデルワイススキーリゾート、鶏頂山スキー場、メイプルヒルスキー場がありましたが、現在はエーデルワイススキーリゾートのみが営業しています。秋には紅葉が美しく、多くの観光客が訪れます。また、日塩もみじライン沿いには、かつて会津西街道高原新田宿があり、戦後には引揚者による鶏頂開拓が行われました。

山名の由来

鶏頂山の名前は、金鶏伝説に由来すると言われています。伝説によると、かつてこの地に黄金の鶏が飛来し、山で休んだことから鶏岳と呼ばれるようになったそうです。その後、鶏が山頂で休んだため、金鶏山、そして鶏頂山と呼ばれるようになったと伝えられています。また、山容が鶏のトサカのように見えることから名付けられたという説もあります。

自然

鶏頂山の北西麓には、小さな沼や湿原が点在しています。標高約1,390mには枯木沼があり、モウセンゴケなどの湿原植物が見られます。標高約1,517mには弁天沼があり、周囲にはレンゲツツジが群生し、開花時期には美しい景色が広がります。山麓にはカラマツ林が見られます。冬季の積雪は、北西側でも30cmから60cm程度で、雪質は低湿で軽く、スキーに適しています。このため、かつては複数のスキー場が賑わっていました。

登山

鶏頂山への登山ルートはいくつかありますが、一般的には日塩もみじライン沿いにある大鳥居の登山口から、枯木沼、大沼、弁天沼を経由して山頂を目指すルートがよく利用されます。西口登山口から赤鳥居をくぐり、山頂へ向かうルートもあります。いずれのルートも途中で合流します。弁天沼付近には、古鳥居や石祠、鐘、修験僧の石像などがあり、信仰の山としての雰囲気を醸し出しています。さらに登ると釈迦ヶ岳火山の爆裂火口跡に到達し、それを周回しながら山頂へと至ります。山頂からは、日光連山や南麓に広がる関東平野を一望できます。また、山頂には鶏頂山神社のほか、放送電波中継設備もあります。

鶏頂開拓

鶏頂開拓は、太平洋戦争後に引揚者によって開拓された地域で、標高約1,200mの場所に位置しています。ここはかつて会津西街道高原新田宿でしたが、廃村となり一時荒廃していました。戦後、満州からの引揚者などが開拓を行い、ウシの放牧やイチゴの育苗などが盛んに行われました。近年では放棄農地も見られますが、現在はダイコンやホウレンソウなどの高原野菜が栽培されています。

鶏頂山神社

鶏頂山神社は、神亀3年（726年）に創建されたと伝えられる神社です。道祖猿田彦命を祀っています。山麓の川治温泉高原には里宮があり、山頂には奥宮（本宮）があります。奥宮には、大僧正良縁が日光山の繁栄を祈願して建立したとされる石製祠や、平成9年に造営された社殿があります。里宮は文久3年（1863年）に新栃久保街道の開削に伴い、高原新田宿の村人が川治温泉に移住した際に、鶏頂山神社を勧請して建立されたものです。ただし、元々そこにあった高原山神社の上に御嶽教が勝手に建てた神社でもあり、鶏頂山が高原山の主峰と言うのもそこら辺の勝手な主張とされています。

高原新田宿

高原新田宿は、江戸時代に会津西街道にあった宿場町です。文久3年（1863年）に新栃久保街道が開通し、宿場としての役割を終え廃村となりました。宿場で生計を立てていた人々は、新街道沿いの川治温泉付近に移住しました。現在、当時の高原問屋跡や「文久3年下ル」と記された「磁石石」が有形文化財として登録されています。

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