鶴八鶴次郎

鶴八鶴次郎

『鶴八鶴次郎』は、川口松太郎が書いた短編小説および新派戯曲で、1934年10月に雑誌「オール読物」に初めて掲載されました。この作品は、翌年に日本文学における重要な賞である第1回直木三十五賞を受賞しており、その後も多くの映画やテレビドラマとして映像化されました。特に、1938年と1956年の映画化、1956年と1966年、1973年にはテレビドラマとして放送されています。

あらすじ

物語は大正時代の東京を舞台に、二人の新内の名手、鶴賀鶴八と鶴次郎の友情と葛藤を描いています。彼らはお互いを心から尊敬し、またどこか好意を抱いているのですが、芸への情熱が高まるあまり、頻繁に衝突を繰り返します。しばしば激しい口論に発展し、最終的に喧嘩別れしてしまうのです。結果、鶴八は料亭に嫁ぐことを余儀なくされてしまいます。彼らの間には、愛情が根底に流れているものの、芸への取り組みが二人の関係を複雑にしています。

映画化とドラマ化

1938年版映画

1938年に公開された映画『鶴八鶴次郎』は、監督に成瀬巳喜男を迎え、長谷川一夫や山田五十鈴などが出演しました。上映時間は89分です。

1956年版映画

1956年の映画では、監督は大曾根辰保が務め、脚色は井手雅人が担当しました。この作品は、125分の長さで、助演男優賞を受賞した多々良純が印象的な演技を見せたことでも有名です。アクターには高田浩吉や淡島千景、石浜朗などが名を連ねています。

テレビドラマ

ドラマのシリーズ化もされており、1956年、1966年、1973年の3度にわたり放送されています。1956年版はKRT（現在のTBSテレビ）で2回に分けて放送され、主演には花柳章太郎と初代水谷八重子が起用されました。1966年版はフジテレビで放送され、山本富士子や仲代達矢などの著名な俳優が参加しました。そして1973年版はNET（現在のテレビ朝日）のシリーズで放映され、多くの視聴者に感動を与えました。

影響と評価

『鶴八鶴次郎』は、時代背景を超えて多くの観客の心に響く作品です。芸人同士の絆や競争、愛情の葛藤を描いたこの物語は、観る者に深い感動を与え続けています。ドラマ化や映画化されるごとに新たな解釈が加えられ、その魅力は不変なものとなっています。物語が描かれる大正時代の文化や社会背景に触れることで、さらに作品の奥深さを感じられるでしょう。

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