鶴書房

株式会社鶴書房について

株式会社鶴書房は、かつて存在した日本の出版社です。その歴史は、1926年に大阪で「田中元文社」として創業したことに始まります。その後、1941年に東京に進出し、社名を「株式会社鶴書房」と改めました。

戦前・戦後の活動

鶴書房は、実務書の出版のほか、ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』やE・R・バローズの「火星の合成人間」など、主に少年向けの海外冒険・SF小説の翻訳・出版を行っていました。戦後には、漫画出版にも力を入れ、日本の漫画史において重要な役割を担うことになります。

漫画出版における貢献

1952年、手塚治虫の『新世界ルルー』を『きえた秘密境』と改題して出版しました。また、同年には藤子不二雄（当時は足塚不二雄）の初の単行本となる「最後の世界大戦」（後に「UTOPIA 最後の世界大戦」に改題）を刊行するなど、戦後日本の漫画史において重要な足跡を残しています。

「ピーナッツ」と占いブーム

1969年には、チャールズ・M・シュルツの「ピーナッツ」（スヌーピー）シリーズを出版し、詩人の谷川俊太郎を翻訳者に起用したことで大ヒット。スヌーピーが日本に広く知られるきっかけを作りました。また、1973年にはホロスコープ（星占い）を出版し、占いブームを巻き起こすなど、出版業界に大きな影響を与えました。

SFジュブナイルと園芸書の出版

SF分野では、筒井康隆『時をかける少女』、眉村卓『なぞの転校生』、光瀬龍『夕ばえ作戦』など、日本のSF草創期の作家によるSFジュブナイルを多数出版しました。これらの作品はNHKでドラマ化されるなど、大きな話題となりました。また、『小品盆栽』や『のらくろ先生の観葉植物』など、園芸書も刊行していました。

倒産とその後

鶴書房は、1979年に倒産しました。直接販売体制を取っていましたが、労働組合の結成が原因で労務倒産したとされています。倒産後、「ピーナッツ」は角川書店から出版されることになりました。

会社概要

所在地: 東京都千代田区富士見町2-9

代表:

田中貫行（創業者、1897年 - 1968年）
田中博之（元社長、2009年死去）

創業者である田中貫行は、湯川弘文社（現弘文社）で出版社の経営を学び、独立して田中元文社（後の鶴書房）を設立しました。

関連事項

貸本漫画
中村書店
曙出版
若木書房
東京[[漫画出版社]]
小島政二郎

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