鶴見臨港鉄道シキ100形貨車

鶴見臨港鉄道シキ100形貨車

鶴見臨港鉄道シキ100形貨車は、1936年10月に汽車製造東京支店で製造された貨車で、30トンの積載能力を持つ低床式の大物車です。この貨車は、重量物の運搬を効率的に行うために設計されており、特徴的な低床構造が採用されています。シキ100形に続いて、1937年7月には35トン積みの低床式大物車であるシキ200形が制作され、さらにはシキ100形を強化したシキ300形も登場しました。

これらの貨車は、1944年に鶴見臨港鉄道が国鉄に買収された際に、シキ110形、シキ111形として国鉄の車籍に登録されました。シキ200形はシキ110、シキ300形はシキ111に改称され、製造年とは逆の番号が付けられるという珍しい運命を辿りました。

構造と仕様

シキ100形とシキ200形、シキ300形はいずれも、類似の設計を持っています。全長は12,300 mmで、車体長は11,500 mmです。低床部の長さは4,800 mm、レール面からの高さは645 mmと、運搬効率を重視した設計がなされています。台車はアーチバー式の2軸ボギー台車TR20を2基装備し、動力には空気ブレーキのKD180形が用いられています。

これらの貨車は、特に重い物品の輸送に適しており、工場などから出荷される大型の貨物や機械などの輸送を補助する役割を果たしました。私有貨車として、東京芝浦製作所（東芝）に所属し、新芝浦駅を常備駅として交易に利用されました。

廃車とその後

戦後、シキ111は1946年6月に、シキ110は1982年12月24日にそれぞれ廃車となります。これにより、数十年にわたり日本の貨物輸送を支えたこれらの貨車は、その役目を終えました。シキ100形、200形、300形は、日本の鉄道の歴史における重要な一部を形成しており、貨物輸送の進化を示す貴重な遺産として評価されています。

参考文献

• - 吉岡心平『大物車のすべて 上』（初版）ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 91〉、2007年3月1日。ISBN 978-4-7770-5195-3。
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』（初版）日本鉄道車輌工業会、2009年4月30日。

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