鶴見貯油施設

鶴見貯油施設

概要

鶴見貯油施設（英語名: Fuel Terminal Tsurumi）は、神奈川県横浜市鶴見区に位置する、在日アメリカ海軍が管理する重要な燃料貯蔵拠点です。この施設は、アメリカ海軍横須賀補給センターの指揮下に置かれており、主に航空燃料の受け入れ、貯蔵、そして他の基地への供給という役割を担っています。

機能と規模

この貯油施設は、タンカーによって輸送される航空燃料を、吾妻倉庫地区を経由して受け入れています。鶴見貯油施設と吾妻倉庫地区を合わせた燃料貯蔵能力は約570万バレルに達し、これは在日米軍の貯油施設としては最大規模を誇ります。さらに、アメリカ軍が世界各地に持つ貯油施設の中でも、最大級の容量を持つ施設の一つとされています。

貯蔵された航空燃料は、必要に応じてここから各種輸送手段を用いて他の在日米軍基地へ配送されます。主要な輸送先には、東京都にある横田飛行場や、神奈川県の厚木海軍飛行場などが含まれます。輸送には、タンク車やタンクローリーが用いられます。

鉄道による燃料輸送

鶴見貯油施設は、鉄道による燃料輸送においても極めて重要な位置を占めています。施設は東日本旅客鉄道（JR東日本）鶴見線の安善駅に隣接しており、敷地内へ直接つながる専用線が敷かれています。この専用線は、かつて鶴見線石油支線の終点であり貨物駅であった浜安善駅に接続していましたが、現在では支線全体を含めて安善駅の構内として扱われています。

現在でも、この専用線を利用したタンク車による航空燃料の発送が活発に行われています。特に注目されるのが、安善駅からJR南武線を経由し、青梅線の拝島駅まで運行される貨物列車です。この列車は、輸送品がアメリカ軍向け燃料であることから、通称「米タン」と呼ばれています。拝島駅に到着した燃料は、そこから横田飛行場へ延びる専用線を通じて、最終的に横田飛行場へと配送されます。この鉄道ルートは、大量の燃料を内陸部の主要基地へ安定供給するための生命線とも言えます。

施設の歴史

鶴見貯油施設がある場所は、過去に日本の主要な産業施設が存在した歴史を持ちます。1923年（大正12年）から、この地には日本石油株式会社（現在のENEOS）の鶴見製油所が操業していました。しかし、太平洋戦争末期の1945年（昭和20年）の空襲により、製油所は壊滅的な損害を受け、その機能を失いました。製油所は復旧されることなく、1949年（昭和24年）に正式に閉鎖されました。

戦後、この土地はアメリカ軍に接収され、新たな軍事施設として整備されました。現在の鶴見貯油施設としてのアメリカ軍による運用が始まったのは、1952年（昭和27年）11月21日です。以来、この施設は在日米軍の兵站を支える基幹施設として運用され続けています。

主要データ

鶴見貯油施設に関する主な情報は以下の通りです。

所在地: 神奈川県横浜市鶴見区安善町2丁目（エリアI）、安善町1丁目（エリアII）
管理部隊: 在日アメリカ海軍横須賀補給センター
従業員数: 約87名
敷地面積: 約18.4ヘクタール（183,784平方メートル）
タンク数: 20基
提供開始: 1952年（昭和27年）11月21日

この施設は、横浜市内に存在するいくつかの在日米軍関連施設の一つとして、日米間の安全保障体制を維持する上で、燃料供給という側面から不可欠な役割を果たしています。

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