花山院常雅

花山院常雅（かさんのいん ときまさ/つねまさ、生年不詳 - 明和7年（1770年））は、江戸時代中期の公卿。権大納言・花山院持実の子として生まれ、花山院家27代当主となった。官位は従一位・右大臣。

経歴

元禄16年（1703年）、父・持実が権大納言を辞職し朝廷の官職を離れた年に叙爵。その後、順調に昇進を重ね、元文元年（1736年）には内大臣に任じられ、元文4年（1739年）まで務めた。延享4年（1747年）には従一位に昇進。寛延2年（1749年）に右大臣に任じられるも、直ちに辞職し、以降は政界に復帰することはなかった。

文化人としての側面も持ち合わせており、明和7年（1770年）には、片歌を提唱した建部綾足に『片歌道守』の称号を授けた。また、和漢の学に通じ、特に伊藤東涯に深く心酔していた。東涯が死去した際には、その墓碑の銘文を東涯の弟子らに贈っている。このことからも、常雅の東涯に対する敬慕の念の深さが窺える。

系譜

父：花山院持実
母：不詳
正室：鷹司輔信の娘
男子：花山院長熙
生母不明の子女
女子：東園基辰室
女子：野宮定業室
女子：橋本実誠正室
* 女子：花山院敬姫 - 知子、松前道広正室

花山院常雅は、公卿として一定の地位を築きながらも、文化人として独自の足跡を残した人物と言える。特に、伊藤東涯との交流は、常雅の思想や行動に大きな影響を与えたと考えられる。彼の文化的活動は、当時の公家社会における学芸の隆盛を示す一例として評価できるだろう。

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