黄彬

黄彬（こう ひん、生年不詳 - 1390年）は、元末から明初の激動期に活躍した軍人です。本貫は鄂州江夏県とされています。

生涯

黄彬は、欧普祥に従い各地を転戦しました。当初、袁州や吉州の属県を攻略し、欧普祥が袁州を守備することになりました。1360年、陳友諒が徐寿輝を殺害し帝を称すると、黄彬は欧普祥に朱元璋への帰順を勧めました。これにより欧普祥は朱元璋に帰順し、陳友諒軍の攻撃を防ぎました。陳友諒は弟の陳友仁を派遣して袁州を攻撃しますが、黄彬と欧普祥はこれを撃退し、陳友仁を捕らえるという功績を挙げました。この結果、陳友諒は欧普祥との間で相互不可侵の約束を交わすことになり、陳友仁は釈放されました。当時、陳友諒は江西、湖北、湖南の諸州を領有していましたが、欧普祥と黄彬が袁州を抑えていたことが、陳友諒の勢力拡大を大きく阻むこととなりました。1361年に朱元璋軍が江西に進出した際、陳友諒が江州を放棄したのは黄彬の協力があったからこそと言われています。

1362年、朱元璋が龍興に到達すると、欧普祥はそのまま袁州の守備を任され、黄彬は江西行省参政に任命されました。その後、欧普祥が亡くなると、黄彬がその部隊を引き継ぎました。1364年、黄彬は常遇春に従って贛州を攻撃し、吉安を拠点とする饒鼎臣を破り、安福へと追いやりました。さらに饒鼎臣は茶陵へ逃亡し、熊天瑞は降伏しました。永新の守将である周安が反乱を起こすと、黄彬は湯和と共にこれを鎮圧し、饒鼎臣は討ち取られました。これにより江西は平定され、黄彬は江淮行省中書左丞に進みました。

1370年、黄彬は宜春侯に封じられ、世襲の権利を与えられました。1371年には贛州の上猶山で起こった反乱を鎮圧し、1372年には鄧愈の指揮下で少数民族の反乱鎮圧に参加、楊璟と共に澧州に進出しました。これらの功績により、中都に邸宅を賜りました。翌年には徐達に従って北平に駐屯し、沂州・臨清で兵の訓練を行いました。

しかし、1390年、黄彬は胡惟庸の党とされ処刑され、爵位も剥奪されました。

黄彬は、その軍事的な才能と忠誠心で、朱元璋の天下統一に大きく貢献した人物です。しかし、晩年は政争に巻き込まれ、悲劇的な最期を遂げました。彼の生涯は、明朝初期の複雑な政治状況を物語るものとして、歴史に深く刻まれています。

参考文献

* 『明史』巻131 列伝第19

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