黄琪翔

黄 琪翔について

黄琪翔（こう きしょう、1898年9月2日 - 1970年12月10日）は、中華民国および中華人民共和国の軍人であり、政治家としても知られる人物です。彼は粤軍第1師の出身であり、後に国民革命軍の有力な指揮官として活動しました。日中戦争では日本軍と交戦し、反蔣介石派としての活動でも注目を集めました。また、鄧演達が設立した中国国民党臨時行動委員会、通称「第三党」にも加入し、後に新たに生まれた中華人民共和国にも参画しました。黄の字は御行です。

初期の経歴

黄琪翔は広州優級師範附属中学で教育を受けた後、1912年に軍人の道を志し、広東陸軍小学、湖北第三陸軍中学を経て、保定陸軍軍官学校第6期砲兵科に進学しました。1919年に卒業後、北京政府の部隊に配属されて砲兵隊の隊長に就任しますが、孫文の影響を受けた黄は、1922年に北京政府を離れ広東省へ戻り、粤軍の参謀としての道を歩みます。

彼は同年6月には反孫クーデターに参加し、国民党にも加入しました。その後、順調に昇進し、1925年には国民革命軍第4軍の一員として活躍。北伐においても軍功を記録します。

第三党への参加

1927年の上海クーデターを経て、黄は引き続き汪兆銘率いる武漢国民政府に留まり、北伐を進行しますが、同年中に蔣介石への反撃の機会をうかがう姿勢を持ち続けました。しかし、結果的に広東省の権力を一時的に握った後、蔣介石と李済深の強力な反撃に遭い、難局に見舞われました。これを機に、黄は一時ヨーロッパに渡りドイツで学び、鄧演達らと交流を深め影響を受けました。

黄は1930年に第三党の結党式に参加し、国家への貢献を誓いました。1932年には第一次上海事変に参加し、以降は反日活動に力を入れ、1937年の第2次上海事変では指揮を執るまでになりました。

日中戦争における活躍

日中戦争の最中、黄琪翔は重要な指揮官として様々な戦闘に参加しました。彼は軍の指揮権を持ちながら敵軍に対抗し、苦しい戦局でも軍功を重ねました。また、彼はその後も様々な軍の役職を担当し、中印公路の警備にも関与しました。戦争の混沌とした状況の中で、彼は国民政府との距離を置きながら多様な活動を続けました。

戦後と晩年

日中戦争後、黄は新たに設立された中華人民共和国に参加し、数々の政府役職を歴任しました。中南軍政委員会の委員や司法部長、さらには国防委員会の委員としても活動し、政治的な役割を果たしました。また、第三党が改組された中国農工民主党の副主席兼秘書長としても名を馳せました。

1970年12月10日、黄琪翔は北京市で亡くなりました。享年72歳。彼の壮絶な業績は、中国の近代史の中で今なお語り継がれています。彼の生涯は、軍人と政治家としての多様な変遷を反映したものであり、激動の時代における彼の選択は、その後の中国の運命に大きな影響を与えました。

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