黄鶴楼

黄鶴楼について

黄鶴楼（こうかくろう）は、中国湖北省武漢市に位置する歴史的な名勝です。かつての建物は武昌区にあり、1985年に約1キロ離れた場所に再建されました。黄鶴楼は「江南三大名楼」の一つとされ、訪れる人々にその美しさを伝え続けています。

歴史の背景

黄鶴楼の起源は、三国時代の223年に遡ります。当時、呉の孫権によって軍事目的の物見櫓として建設されましたが、次第に観光名所としての役割も担うようになりました。唐の永泰元年、閻伯瑾が書いた「黄鶴楼記」では、この楼閣の盛況な様子が描かれています。

その後、黄鶴楼は数回の焼失と再建を経験しました。たとえば、1884年に太平軍による攻撃に遭い焼失した後、1904年には西洋式の火の見櫓が建設されたものの、1955年に武漢長江大橋の建設のために取り壊されてしまいました。長い年月を経た1995年には、元の楼閣のデザインを基にした新たな黄鶴楼が完成し、現在の姿を呈しています。

伝承と文化

黄鶴楼には多くの伝説が存在し、中でも有名なのは、仙人と辛氏の酒屋の物語です。この伝承によれば、辛氏という酒屋の主人が、みすぼらしい仙人に酒を振る舞った結果、黄色い鶴が描かれた壁が命を宿し、繁盛するようになったというものです。この奇跡に感謝して、辛氏は楼閣を建て、黄鶴楼と名付けたとされています。また、閻伯瑾の記述には、武将である費禕が黄鶴に乗った仙人とともにここに現れたとの伝説も含まれています。

詩と黄鶴楼

黄鶴楼は多くの詩人によって詠まれており、特に唐代の詩人崔顥や李白の作品が有名です。崔顥の「黄鶴楼」では、過去の仙人の姿が描かれ、黄鶴の去った後の孤独感を表現しています。李白の「黄鶴楼送孟浩然之広陵」では、友人との別れの情景が美しく表現され、静かな感傷が漂います。これらの詩は、黄鶴楼の風景と共に多くの人々の心に残り、後の世代に受け継がれています。

現在の黄鶴楼

現代の黄鶴楼は、1985年に再建されたもので、高さは約51.4メートル、八角形の最上層は18メートルの長さを持ちます。黄鶴楼は長江の右岸に築かれ、周囲は「武漢黄鶴楼公園」として整備されています。この公園は、40.3ヘクタールの広さを誇り、観光客が訪れるスポットとして多くの施設が整備されています。公園内には、名優岳飛の銅像や多くの風情ある庭園、亭があります。

入場料は成人80元、子供・学生は40元であり、毎日8時から18時まで開園しています。

アクセスと周辺の観光地

黄鶴楼へのアクセスは良好で、武漢地下鉄4号線や5号線を利用することができます。周辺には、辛亥革命の記念館や長江大橋など、他の観光スポットも点在しています。観光の合間に、ぜひ黄鶴楼を訪れ、その歴史と美しい景観を感じてみてください。

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