武昌区

武昌区は、中華人民共和国湖北省武漢市に位置する市轄区です。武漢市の長江以南に位置する武昌区、青山区、洪山区、東湖新技術開発区を合わせて「武昌」と総称する習慣があります。市役所は長江の対岸である漢口地区にありますが、武昌区には中国共産党湖北省委員会や湖北省政府など、省レベルの重要な国家機関が集中しており、湖北省の政治の中心地としての役割を担っています。

地理

武昌区は武漢市の中東部に位置し、長江の東岸に広がっています。東と南は洪山区、西は長江に面し、漢水南岸は漢陽区、漢水北岸は江岸区・江漢区・礄口区（かつて漢口と呼ばれた地域）と接し、北は青山区に隣接しています。地形は平野が中心ですが、蛇山、鳳凰山、洪山、小洪山、珞珈山といった丘陵も点在します。区内には沙湖、武漢東湖、曬湖など多くの湖沼が存在し、水資源にも恵まれています。

歴史

武昌は城郭都市としての長い歴史を持ち、「武昌」という地名は後漢末期に登場しました。ただし、当時の「武昌」は現在の鄂州市であり、現在の武昌は当時「夏口城」と呼ばれていました。三国時代には、曹操と孫権が長江を挟んで対峙し、この周辺に孫権軍が集結したことで商業が発展、都市が形成されました。孫権が「武運昌盛」の意を込めて武昌と命名したという伝承があります。その後、現在の武昌と鄂州の間で地名が入れ替わることもありましたが、元代以降に現在の地名が定着しました。

都市が形成された後、武昌は長江と漢水が合流する水運の要衝として、商業が活発になり人口も増加しました。元から明代にかけて、武昌は湖北省の政治の中心となり、明末には長江対岸の漢口鎮が商業の中心として発展し、武昌、漢陽、漢口の「三鎮鼎立」の時代を迎えました。清朝時代には武昌府が設置され、湖北巡撫と湖広総督の所在地となりました。

1911年（宣統3年）10月10日、武昌城で中国同盟会が指導する清朝政府に対する蜂起（武昌起義）が起こりました。この蜂起は辛亥革命へと発展し、中華民国が成立するきっかけとなりました。武昌起義の際には、中華民国・湖北軍政府が成立し、十八星旗が国旗として採用されました。

1926年（民国15年）、国民革命軍の北伐が始まると、国民軍は武漢を占領し武漢国民政府を成立させました。その後、武漢国民政府は南京国民政府と合流して解消されました。北伐軍が武昌を占領した際に、武昌、漢陽、漢口の「武漢三鎮」が合併し、武漢市が誕生しました。日中戦争中には、国民政府が一時的に武漢に疎開しましたが、日本軍の攻撃により重慶市へと移りました。1949年4月17日、人民解放軍が武昌に進駐し、中華人民共和国成立後、武漢市は引き続き湖北省の省都となり、省の党委員会、省政府、省レベルの政府機関は武昌区に置かれました。

行政区画

武昌区は以下の街道で構成されています。

積玉橋街道
楊園街道
徐家棚街道
糧道街道
中華路街道
黄鶴楼街道
紫陽街道
白沙洲街道
首義路街道
中南路街道
水果湖街道
珞珈山街道
石洞街道
南湖街道
東湖風景区街道

名所

武昌区には数多くの名所が存在します。

武漢東湖
東湖桜花園
黄鶴楼
湖北省博物館
首義園「武漢名小吃街」
長春観
中華民国軍政府鄂軍都督府の旧跡（紅楼）、辛亥革命博物館
洪山広場
武昌江灘
起義門
黄興拝将台
施洋烈士墓
武漢長江大橋

交通

武昌区内には、武漢地下鉄の2号線、4号線、7号線、8号線が乗り入れています。

健康・医療・衛生

区内には以下の主要な医療機関があります。

武漢大学人民医院
武漢大学中南医院
武漢科技大学附属天佑医院
湖北省中医院
武漢市武昌医院
武漢市第三医院（別名 武漢大学同仁医院）
武漢市第七医院
武警湖北省総隊医院
解放軍中部戦区総合医院

関連項目

武漢都市圏

参考資料

* 武昌区人民政府

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