黒島亀人

黒島亀人：異才の軍略家、その光と影

黒島亀人（1893年 - 1965年）は、日本の海軍軍人であり、最終階級は海軍少将でした。彼は、太平洋戦争における特攻作戦の考案と推進に深く関与した人物として知られています。しかし、終戦後には自らの関与を示す証拠を隠滅しようとした一面も持ち合わせていました。

生い立ちと海軍入隊

黒島は広島県呉市で石工の息子として生まれました。幼くして父を亡くし、叔父の養子となります。苦学の末、海軍兵学校に入学。同期には、後に連合艦隊司令長官となる山本五十六もいました。海兵時代は禅や哲学に傾倒し、異端児として見られることもあったようです。

軍歴

黒島は海軍砲術学校で学び、「鉄砲屋」としてのキャリアを歩み始めます。重巡洋艦「羽黒」「愛宕」の砲術長を歴任し、主砲の命中率向上に貢献しました。その後、海軍大学校を卒業し、軍令部や連合艦隊で参謀を務めます。

連合艦隊首席参謀として

1939年、黒島は連合艦隊の首席参謀に就任します。実戦経験が少ないにも関わらず、山本五十六はその才能を高く評価し、重用しました。黒島は、真珠湾攻撃やミッドウェー作戦といった重要な作戦の立案に関与します。しかし、ミッドウェー作戦においては、敵情の甘い判断や情報伝達の遅れなど、数々の問題点が指摘されています。

特攻作戦への関与

1943年、黒島は軍令部第二部長に就任し、特攻兵器の開発と実践を主導します。彼は、航空機による体当たり攻撃や人間魚雷「回天」など、数々の特攻兵器を考案・推進しました。これらの作戦は、多くの若い兵士たちの命を奪う結果となりました。

終戦とその後

終戦後、黒島は自らの関与を示す証拠を隠滅しようとしました。宇垣纏の日記『戦藻録』の一部を処分したり、軍令部の重要書類を紛失させたりといった行為が指摘されています。戦後は公職追放となり、その後は哲学や宗教の研究に没頭しました。1965年、肺癌のため72歳で死去。

人物評

黒島亀人は、その奇抜な発想と大胆な行動力から、「変人参謀」「仙人参謀」などと呼ばれました。山本五十六は彼の才能を高く評価しましたが、一方で、その作戦立案には多くの問題点も指摘されています。特攻作戦を推進した責任は重く、その功績と過ちは、今日においても議論の対象となっています。

まとめ

黒島亀人は、太平洋戦争において重要な役割を果たした人物ですが、その評価は分かれています。彼は、優れた軍略家であったと同時に、特攻作戦を推進した責任を負う人物でもありました。彼の生涯は、戦争の複雑さと、人間の多面性を物語るものと言えるでしょう。

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