黒木家永

黒木家永：筑後国を駆け抜けた戦国武将

黒木家永は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、筑後国上妻郡猫尾城を拠点とする黒木氏の当主でした。黒木氏は、筑後十五城にも数えられる有力な国人領主であり、その勢力は筑後国において無視できないものでした。

大友氏との関係

黒木氏は、家永の曽祖父の代から大友氏に従属していたと考えられています。しかし、家永自身は大友氏に対して必ずしも友好的ではなく、当初は大友義鎮（宗麟）に対抗する姿勢を示していました。しかし、永禄7年（1564年）に大友氏の大軍が猫尾城に攻め寄せると、寡兵でよく防戦したものの、最終的には降伏し、大友氏に忠誠を誓うことになります。その後は、大友氏の傘下として各地の戦いに参加しました。

龍造寺氏との関係

天正6年（1578年）の耳川の戦いで大友氏が島津氏に大敗すると、筑後国における大友氏の影響力は低下し、代わりに肥前国の龍造寺氏が勢力を拡大します。これに伴い、黒木氏も龍造寺氏に従属せざるを得なくなりました。天正9年（1581年）には、龍造寺隆信が柳川城主の蒲池鎮漣を謀殺するという事件が起こります。この龍造寺氏の横暴に激怒した家永は、龍造寺氏に反旗を翻しますが、龍造寺氏の軍勢に包囲され、最終的には人質を差し出して和睦することになります。

大友氏との再戦、そして最期

天正12年（1584年）の沖田畷の戦いで龍造寺隆信が戦死すると、今度は大友氏が龍造寺領に侵攻を開始します。かつて大友氏から龍造寺氏に鞍替えした黒木氏は、大友氏にとって格好の標的となり、猫尾城は再び包囲されることになりました。黒木勢は、龍造寺氏に援軍を要請しつつ、必死に防戦しましたが、大友氏の援軍として立花道雪・高橋紹運らが到着すると、形勢は逆転します。龍造寺氏からの援軍も立花勢との激戦の末に敗退し、城内の兵糧も尽き果て、ついに家永は降伏を決意しました。家臣や家族の助命を条件に、家永は切腹し、60年の生涯を終えました。

黒木家永の死

家永の介錯をしたのは、わずか13歳の娘だったと伝えられています。彼の死に際しては、降伏の際に自害したという説と、一度は許されたものの後に謀反の疑いをかけられて誅殺されたという説の二つがあります。いずれにしても、黒木家永は、戦国時代の激動の中で、自らの領地と家を守るために奔走した武将であり、その生涯は、時代の波に翻弄されながらも懸命に生きた人々の姿を象徴していると言えるでしょう。

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