黒浜貝塚

黒浜貝塚

黒浜貝塚は、埼玉県蓮田市黒浜に位置する縄文時代の貝塚群および環状集落の遺跡です。元荒川と旧日川に囲まれた北足立台地の縁辺に立地し、縄文時代前期に相当する時期の13か所の貝塚から構成されています。2006年には国の史跡に指定されました。

概要

13か所の貝塚のうち11か所は約6,000年前のもので、関東地方の縄文時代前期の土器型式である黒浜式の標式遺跡に当たります。大正時代から昭和初期にかけて、大山史前学研究所が4つの貝塚を発掘調査し、出土した縄文土器を「蓮田式」として提唱しました。

本格的な発掘調査は1971年に行われ、東北縦貫自動車道建設に伴い宿上貝塚が調査されました。その結果、平面長方形の竪穴建物跡が発見され、ハイガイ、アカニシ、マガキ、ハマグリ、アサリなど内湾砂泥性の貝類が多数出土しました。これらの貝類は、当時の遺跡周辺の自然環境を物語っています。炭釜屋敷貝塚は、宿上貝塚の北西に位置する直径160メートルの環状貝塚です。

1975年には埼玉県指定史跡に指定され、2006年には貝塚群の一部が国の史跡に指定されました。その理由は、学史上著名であり、南関東の自然環境の変遷や当時の生業を考える上で重要であるとともに、集落の構造が、縄文時代中期以降顕著となる環状集落の萌芽とも見られ、集落の変遷を考える上でも貴重であると評価されたためです。

2013年度に決定した黒浜貝塚整備事業により整備が進められ、2020年4月1日に全面開園しました。

学史上の初出文献

大山柏・宮坂光次・池上啓介『東京湾に注ぐ主要渓谷の貝塚に於ける縄文式石器時代の編年学的研究予報1』『史前学雑誌』3-6、1933年

参考文献

大塚初重、桜井清彦、鈴木公雄編『日本古代遺跡事典』吉川弘文館,1995年 ISBN 4-642-07721-9

関連項目

縄文時代の遺跡一覧
日本の貝塚一覧
埼玉県の貝塚の一覧
関東の史跡一覧
埼玉県指定文化財一覧
埼玉県の記念物
歴史公園
編年
関山貝塚
黒浜村

外部リンク

国指定史跡「黒浜貝塚」 - 蓮田市役所
国指定文化財等データベース

もう一度検索