鼻顔稲荷神社

鼻顔稲荷神社：佐久地方の信仰の中心地

長野県佐久市岩村田に鎮座する鼻顔稲荷神社は、地域を代表する稲荷神社として広く知られています。伏見稲荷大社から分霊されたとされ、宇迦之御魂命（ウカノミタマ）、猿田彦命（サルタヒコ）、大宮能売大神（オオミヤノメ）の三神を祀っています。日本五大稲荷の一つとして数えられることも多く、古くから人々の篤い信仰を集めてきました。

由緒と歴史

神社の創建は永禄年間（1558～1570年）と伝えられています。現在の社名である「鼻顔」は、所在地に由来するといわれています。しかし、別の説として、かつて川向かいにあった「飯綱下」という地名から「飯綱稲荷」という名称であった可能性も指摘されています。

「天下の名稲荷」と称されるほど、その信仰は地域を超えて広がっていました。神社周辺の稲荷町、花園町は、鼻顔稲荷神社の鳥居前町として発展した歴史を持ちます。信仰組織である「稲荷講」は佐久市周辺だけでなく、上田地域や群馬県、埼玉県といった関東地方にも広がり、初午祭、二の午祭、小満祭といった祭礼には多くの参拝者が訪れました。

江戸時代から明治初期にかけては、「おこもり」（お籠り）という風習も行われていました。遠方から女性参拝者が多く訪れたことから、風紀上の問題から行政による禁止令が出されたという記録も残されています。

境内と景観

鼻顔稲荷神社の社殿は、湯川に臨む断崖に建てられた懸崖造りで、朱塗りの柱が断崖から伸び、社殿を支える独特の構造となっています。境内には、ケヤキとアカマツが合体した「相生の樹」があり、縁結びの聖地として知られています。春には、湯川に映る桜が美しい景観を作り出し、多くの観光客を魅了します。

祭事

年間を通して様々な祭事が行われています。特に初午祭は、屋台や露店が立ち並び、多くの参拝者で賑わう大祭として知られています。

歳旦祭（1月1日）
初午祭（2月11日）
二の午祭（2月、二の午の日）
小満祭（5月、小満の日）
例大祭（9月16日または10日）
除夜祭（12月31日）

アクセス

公共交通機関: JR小海線岩村田駅から徒歩約15分
車: 上信越[[自動車道]]佐久ICから約5km、約10分。神社に普通車5台分の駐車場があり、近くの鼻顔公園にも駐車場があります。

参考文献

『北佐久郡志』長野県北佐久郡役所、1915年2月25日
佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 上』佐久市志刊行会、1990年2月20日
その他、長野県神社庁、佐久市、さわやか信州旅.netなどのウェブサイト

関連項目

稲荷信仰
稲荷神
大神宮神社
岩村田遊郭
北佐久郡
相生の松

外部リンク

長野県公式観光ウェブサイト さわやか信州旅.net (鼻顔稲荷神社、神社の桜、縁結び相生の樹)
* 佐久市公式ウェブサイト (鼻顔稲荷神社、鼻顔公園)

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