龍光院 (宇和島市)

龍光院について

龍光院（りゅうこういん）は、愛媛県宇和島市に位置する高野山真言宗の寺院です。臨海山（りんかいざん）、福寿密寺（ふくじゅみつじ）とも号し、本尊は十一面観世音菩薩です。四国八十八箇所第四十番札所の奥の院であり、四国別格二十霊場第六番札所、南予七福神の一つである毘沙門天を祀る寺院として知られています。

歴史

龍光院は、江戸時代初期の元和元年（1615年）に、宇和島藩主となった伊達秀宗が、宇和島城の鬼門にあたるこの地に、藩の安寧と領民の平和を祈願して建立されました。開山和尚には栄瑜上人を迎え、以後、宇和島藩伊達家の祈願所として、藩から100石を賜りました。

寛永15年（1638年）には、大覚寺の二品宮親王が四国を巡錫した際にこの寺に立ち寄り、「臨海山福寿寺」と名付けられました。

平成20年（2008年）には、護摩祈祷の際の飛び火により本堂の屋根の一部が焼失しましたが、平成22年に金剛組の施工により本堂が復興しました。

境内

龍光院の境内には、以下の堂宇や施設があります。

本堂: 寺院の中心となる建物。
大師堂: 弘法大師を祀るお堂。
鐘楼: 時を告げる鐘が設置された建物。
鎮守堂: 稲荷大明神を祀るお堂。
除災招福大観音: 平成2年（1990年）に裏山の墓地の最上部に建立された観音像。
新四国百八カ所霊場お山めぐり: 昭和45年（1970年）に開創された霊場巡りの道。除災招福大観音を中心に境内に広がっています。
句碑: 松尾芭蕉の句「父母の志き里に恋し雉子の聲」（1845年建立）、小泉英の句「芭蕉忌や母は宇和島の人のよし」、手束妙絹尼の句「降る花にいのち踏みのし発願寺」があります。


国道320号線から少し入った場所に位置しており、石段を111段上がると本堂のある境内へと到着します。本堂の右には大師堂があり、両堂の間を抜けると納経所があります。本堂内での参拝が可能で、体の不自由な方には、車で本堂裏まで行ける道が用意されています。

文化財

龍光院には、宇和島市指定史跡である「椎本芳室の寶篋塔」があります。これは、江戸時代前期の大坂談林派俳諧の宗匠・椎本芳室の功績と長寿を讃えた寿蔵碑で、宇和島の商人であり芳室の弟子である谷脇恩竹が延享3年（1746年）に建立しました。

交通案内

鉄道: JR予讃線宇和島駅から徒歩5分。
道路: 国道320号線宇和島駅前（宇和島自動車ビル）からすぐ。

奥の院

龍光院の奥の院として、鯨大師（遍照山願成寺）と馬目木大師（まめきだいし）があります。

鯨大師: 九島に位置し、弘法大師の創建と伝えられています。
馬目木大師: 鯨大師が参拝に不便であったため、対岸の元結掛に移され、その後龍光院に合祀されました。残されたお堂が馬目木大師と呼ばれています。

前後の札所

四国八十八箇所:
40番 観自在寺 - 40番奥の院 龍光院 - 41番 龍光寺
四国別格二十霊場:
* 5番 大善寺 - 6番 龍光院 - 7番 出石寺

龍光院は、その歴史と文化、そして美しい自然に囲まれた、多くの人々にとって心の拠り所となる場所です。

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