龍海院 (前橋市)

龍海院（りゅうかいいん）

龍海院は群馬県前橋市紅雲町に所在する曹洞宗の寺院で、山号は大珠山、寺号は是字寺、そして本尊として釈迦如来を祀っています。この寺院は前橋・姫路藩主である酒井雅楽頭家の菩提寺として特に有名です。

歴史的背景

この寺院は1530年（享禄3年）に松平清康によって設立されました。清康は、ある日「是」の文字を左手に握る夢を見て、その意味を龍渓院の住職である模外惟俊に尋ねました。住職の説明によれば、この夢は天下統一を果たすことができる天下人になるという暗示であり、たとえ清康が実現できなくとも、彼の子孫によって実現するだろうとのことでした。この夢の解釈を聞いて、清康は喜びのあまり自らの居城、岡崎城下に模外惟俊を開山とする寺を建立しました。

設立当初、松平氏の菩提寺であった大樹寺が存在していました。そのため、酒井正親に管理を任せることで、酒井氏の菩提寺としての役割を果たしました。後に、1601年（慶長6年）に酒井氏が転封された際、寺院は前橋藩に移されます。しかし、1749年（寛延2年）に姫路藩が転封される際には、龍海院はこの地に留まり、姫路藩の藩主の菩提寺としての地位を維持しました。明治以前には、酒井忠顕もこの寺に葬られています。

現在の寺院の伽藍は文政年間（1818年 - 1829年）に整備されたと考えられており、本堂は文政12年（1829年）、御霊屋は文政10年（1827年）、山門は天保11年（1840年）に建築されています。墓地には、酒井氏の歴代当主の墓の他、前橋市の初代市長である下村善太郎の墓も位置しています。

文化財と史跡

龍海院は前橋市において指定史跡となっており、前橋藩主酒井氏の歴代墓地は昭和39年12月22日に指定されています。また、下村善太郎の墓も前橋市指定史跡として昭和49年8月26日に指定されています。このような歴史的背景からも、龍海院は地域において重要な文化財として認識されています。

交通アクセス

龍海院は前橋駅から徒歩15分の位置にあります。周辺には群馬県立前橋女子高等学校や地域医療機能推進機構群馬中央病院、長昌寺、前橋市立桃井小学校など教育機関が点在しており、訪れる際には地域の雰囲気も楽しめます。

参考文献

• - 群馬県高等学校教育研究会歴史部会 編『群馬県の歴史散歩（歴史散歩10）』山川出版社、2005年
• - 群馬県地域創生部文化財保護課『群馬県近世寺社総合調査報告書－歴史的建造物を中心に－寺院編』群馬県前橋市大手町一丁目１番１号、2022年3月18日
• - 前橋市史編さん委員会 編『前橋市史』 5巻、前橋市、1984年2月1日

このように、龍海院は群馬県における重要な歴史的寺院であり、その歴史や文化を知ることは地域理解を深める手助けとなるでしょう。

もう一度検索