龍造寺高房

龍造寺高房とは

龍造寺高房（りゅうぞうじ たかふさ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての大名です。肥前国佐賀藩の藩主を務めました。官位は従五位下・駿河守です。

生涯

天正14年（1586年）、龍造寺政家の四男として生まれました。父・政家が病弱であったため、天正15年（1590年）にわずか5歳で家督を相続します。

しかし、佐賀藩の実権は豊臣秀吉の承認のもと、重臣である鍋島直茂とその子・勝茂に握られていました。そのため、当時の佐賀藩は、名目上は龍造寺氏が藩主でありながら、実質的な支配は鍋島氏が行うという二重統治体制となっていました。

龍造寺政家には羽柴の姓と豊臣の本姓の両方が与えられましたが、鍋島直茂・勝茂には豊臣の本姓のみが与えられました。後に、高房にも羽柴姓が与えられています。

龍造寺一門は、肥前の支配権を龍造寺氏に取り戻すべく、高房の成人後に藩政を高房に戻す旨の請文を直茂に書かせ、高房を直茂の養子にするなどの対策を講じました。しかし、朝鮮出兵や関ヶ原の戦いなどを経て、鍋島氏の肥前支配はより強固なものとなり、これらの措置は実質的な意味を失いました。

高房は、直茂の孫娘を娶り、江戸幕府に従う身となりました。徳川家康の人質にもなっていましたが、慶長12年（1607年）に鍋島氏に実権を握られていることに憤慨し、絶望して、妻を殺害し、自らも腹を切って自殺を図りましたが、失敗。その傷を癒すために肥前への帰還を許されますが、故郷で再び自害し、22歳という若さで生涯を閉じました。

この不祥事に対し、鍋島直茂は強い不快感を示し、父・政家を糾弾する書状を送りました。また、理不尽に殺害された正室の実家である石井氏も強く反発し、遺骨の引き取りを求め、龍造寺氏の墓地に埋葬することを拒否しました。この出来事により、龍造寺氏は家臣団からの信頼を大きく失うことになりました。

高房の死からわずか1ヶ月後には、肥前に隠居していた父・政家も急死しました。幕府は佐賀藩龍造寺家の家督について、龍造寺一門を国元から呼び質しましたが、一門は勝茂こそ佐賀藩を継ぐにふさわしいと答え、結局、勝茂が龍造寺家の家督を引き継ぐ形で佐賀藩35万7千石を手に入れることとなりました。

鍋島氏が治める佐賀藩では、高房の弟である安良が龍造寺宗家として扱われましたが、村田と改姓し、その子孫は幕末まで鍋島氏に仕えました。

なお、高房の遺児である伯庵は、龍造寺季明と名乗り、龍造寺氏の当主として肥前佐賀藩を鍋島氏の手から取り戻すべく再三幕府に訴え出ましたが、結局認められませんでした。

系譜

父：龍造寺政家（1556-1607）
母：不詳
養父：鍋島直茂（1538-1618）
正室：瑞祥院（?-1607） - 鍋島直茂養女、鍋島茂里長女
生母不明の子女
男子：龍造寺季明 - 伯庵

脚注

鍋島騒動

関連項目

鍋島騒動

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