10cc (アルバム)

10cc (アルバム)

『10cc』は、革新的な音楽性で知られるイギリスのグループ、10ccが1973年に発表した彼らにとって初のスタジオ・アルバムです。このデビュー作は、バンドの多様な音楽的才能とスタジオ技術を駆使したサウンドが初めて公式に提示された作品として、その後のキャリアの礎を築きました。

収録内容と代表曲

オリジナルLPには全10曲が収められています。初期の彼らのシングルヒットが多数収録されており、そのポップな魅力とユニークなアプローチが窺えます。

ドナ (Donna): 全英シングルチャートで最高2位を記録した、ドゥーワップを模倣した遊び心あふれる楽曲です。
いけないジョニー (Johnny, Don't Do It): アルバムのオリジナルLPの冒頭を飾る楽曲です。
ラバー・ブレッツ (Rubber Bullets): 全英シングルチャートでバンド初の1位を獲得し、全米でも73位にランクインした代表曲の一つです。キャッチーなメロディーとシニカルな歌詞が特徴です。
ディーン・アンド・アイ (The Dean and I): 全英シングルチャートで最高10位に達した楽曲です。

これらのヒット曲に加え、ケヴィン・ゴドレイ、ロル・クレーム、エリック・スチュワートの共作である「ママにフレッシュ・エア (Fresh Air for My Mama)」は、彼らがホットレッグス名義で1970年に発表した楽曲「You Didn't Like It Because You Didn't Think of It」に手を加えたバージョンとして収録されています。

バージョンによる違い

このアルバムは、リリースされた時期や地域によって収録順序が異なるバージョンが存在することで知られています。オリジナルLPは「いけないジョニー」から始まりますが、ジャケット裏面の収録曲リストがランダムな順番で記載されていたため、一部の再発盤ではこのジャケット裏面の順序に従った配列でプレスされたものも見られます。

特に、2010年に日本で発売されたSHM-CD盤は、ヒットシングルである「ラバー・ブレッツ」が冒頭に配置されており、さらにオリジナルLPには未収録だったシングルのB面曲3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。これらのボーナス・トラックは「ホット・サン・ロック (Hot Sun Rock)」、「4%オブ・サムシング (4% of Something)」、「ウォーターフォール (Waterfall)」です。

その他の特徴

イギリスでの初回プレス盤には、メンバーであるグレアム・グールドマンの名前のスペルが「Gouldham」と誤って印刷されているものが存在し、これはファンやコレクターの間で貴重なアイテムとして扱われています。

アルバムのジャケット・デザインは、メンバーの一人であるロル・クレームが手掛けたイラストレーションです。

参加ミュージシャン

このアルバムの制作には、10ccの主要メンバー4人が参加し、それぞれがボーカルと多様な楽器を担当しています。

エリック・スチュワート: ボーカル、エレクトリックギター、スライドギター、モーグ・シンセサイザー
グレアム・グールドマン: ボーカル、ベース、エレクトリックギター、アコースティック・ギター、ドブロ・ギター、タンブリン
ケヴィン・ゴドレイ: ボーカル、ドラムス、パーカッション
ロル・クレーム: ボーカル、エレクトリックギター、アコースティック・ギター、ピアノ、シンセサイザー、メロトロン、パーカッション

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