1833年スペイン地方行政区分再編

1833年スペイン地方行政区分再編

1833年、スペインでは地方行政区分の再編が行われ、中央集権体制の基礎が築かれました。この再編は、短命に終わった1822年の再編にわずかな修正を加えたもので、49の県が設置され、各県は15の「歴史的地域」にまとめられました。この際に考案された「歴史的地域」の多くは、スペインの民主化後の自治州制度に引き継がれています。

再編の概要

1833年の再編では、カラタユー県、ビエルソ県、ハティバ県の3県が他県と合併しました。45の県は県都の名称がそのまま県名となりましたが、ナバーラ県（県都パンプローナ）、アラバ県（県都ビトリア）、ギプスコア県（県都サン・セバスティアン）、ビスカヤ県（県都ビルバオ）の4県は、歴史的背景を考慮し、県都名と異なる県名が付けられました。この再編はフランスの地方行政区分をモデルにしましたが、スペインでは歴史性が尊重された点が特徴的です。

「歴史的地域」は、現在の自治州のような第一級行政単位ではなく、行政機関や権限は存在しませんでした。各県には中央政府が任命した統治者（県知事）が配置されました。

歴史的背景

再編以前の動き

1789年には、啓蒙派宰相のホセ・モニーノ（フロリダブランカ伯）が、スペイン全土を31県に分割する再編案を提示しました。この案では、カタルーニャ、ガリシア、アラゴンなどが1つの県とされていました。その後、1812年のカディス憲法制定時に、スペイン全土を37県に分割する案が出されました。

立憲革命と1822年再編

スペイン立憲革命後の「自由主義の3年間」（1820年-1823年）には、52県に分割する案が出されましたが、1822年の地方行政区分再編は短命に終わりました。

1833年地方行政区分再編の詳細

1833年11月20日、ハビエル・デ・ブルゴス大臣による地方行政区分再編案が批准されました。この再編案は、1822年の再編案を参考に、フランスの地方行政区分をモデルとし、面積、人口、地勢などを考慮して作成されました。この結果、スペインには49の県が誕生し、それらは15の「歴史的地域」にまとめられました。

1833年以降、「歴史的地域」を正式な機関に格上げする計画が何度か持ち上がりましたが、実現には至りませんでした。

近代（1833-1975）における修正

県境の修正

1836年には、アルバセテ県、アリカンテ県、ムルシア県の県境が修正され、ビリェーナの自治体がアルバセテ県からアリカンテ県に、サクスの自治体がムルシア県からアリカンテ県に編入されました。1841年にはログローニョ県の範囲を1822年の範囲に戻す王令が出されましたが、実施には至りませんでした。

1846年にはシウダ・レアル県とアルバセテ県の県境が修正され、ビリャロブレドの自治体がシウダ・レアル県からアルバセテ県に編入されました。1851年にはレケーナとウティエルの自治体がクエンカ県からバレンシア県に編入されました。

県都の変更

1844年から1854年まで、ギプスコア県の県都がサン・セバスティアンからトローサに移されました。

カナリア諸島の分割

カナリア諸島は当初、単独でサンタ・クルス・デ・テネリフェ県を構成していましたが、1927年にラス・パルマス県とサンタ・クルス・デ・テネリフェ県に分割され、現在の50県が確立しました。

民主化以後（1975-）の修正

名称変更

1980年にはログローニョ県がラ・リオハ県に、1982年にはサンタンデール県がカンタブリア県に、1983年にはオビエド県がアストゥリアス県に名称変更されました。1992年にはヘローナ県がカタルーニャ語名のジローナ県に、レリダ県がカタルーニャ語名のリェイダ県に変更されました。1997年にはパルマ・デ・マヨルカ県がバレアレス諸島県に変更されました。1998年にはラ・コルーニャ県がガリシア語名のア・コルーニャ県に、オーレンセ県がガリシア語名のオウレンセ県に変更されました。

その他

1995年にはガトヴァの自治体がカステリョン県からバレンシア県に編入されました。

2000年代初頭にはギプスコア県の正式名称がバスク語のGipuzkoaに変更され、2011年にはスペイン国会でも承認されました。同じく2011年には、アラバ県の正式名称がÁlava/Arabaに、ビスカヤ県の正式名称がBizkaiaに変更されました。

まとめ

1833年の地方行政区分再編は、スペインの行政制度の基礎を築いた重要な出来事であり、その後の自治州制度にも大きな影響を与えました。再編の内容、その後の修正、そして現代に至るまでの変遷を理解することは、スペインの歴史と政治を理解する上で不可欠です。

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