1919年の相撲

1919年の相撲界の動向

1919年は、相撲界にとって新たな時代の幕開けを告げるような出来事が相次いだ年でした。この年、再建中の国技館では鉄柱崩落事故が発生し、1名の犠牲者を出すという悲劇に見舞われました。この事故の影響で国技館の竣工は遅れることとなりましたが、一方で、大阪では新たな国技館が完成し、相撲界に新風を吹き込みました。

新たな相撲の潮流

大学相撲の分野では、慶應義塾大学と立教大学に相撲部が創部され、学生相撲が活発化しました。また、11月には堺市浜寺公園で第1回全国学生相撲大会が開催され、優勝者には吉田司家から「絹手綱」が贈呈されるという慣例が始まりました。さらに、全国中等学校相撲大会（現在の全国高等学校相撲選手権大会）が初めて開催され、後の相撲界を担う若き力士たちの活躍が期待されるようになりました。

本場所の模様

1919年の本場所は、東京相撲と大阪相撲がそれぞれ開催され、両者が合併して興行を行うという新たな試みも行われました。

1月場所（東京相撲）：靖国神社を舞台に、晴天のもと10日間興行が行われ、東方が119対60で勝利を収めました。旗手は大ノ里万助が務め、個人優勝は栃木山守也が飾りました。
1月場所（大阪相撲）：千日前東で10日間興行が行われました。
5月場所（東京相撲）：靖国神社で10日間興行が行われ、東方が95対80で勝利しました。旗手は源氏山大五郎が務め、個人優勝は栃木山守也が再び獲得しました。
5月場所（大阪相撲）：千日前東で10日間興行が行われました。
9月場所（東京大阪合併相撲）：大阪国技館の杮落としとして、10日間興行が行われました。この合併興行は、東西の相撲界が一体となる新たな試みとして注目を集めました。

引退[[相撲]]と新星誕生

この年、西ノ海嘉治郎の引退披露相撲が行われ、長年の活躍に幕を閉じました。一方で、照國萬藏をはじめとする、後の相撲界を彩る多くの力士たちが誕生しました。この中には、横綱、大関、関脇など、後の相撲界を背負って立つ名力士たちの名前も含まれています。

物故者

一方で、相撲界の歴史を築いてきた人物もこの世を去りました。源氏山頼五郎、雲竜辰五郎といった、かつて土俵を沸かせた力士たちがこの世を去りました。彼らの功績は、今も相撲界に語り継がれています。

1919年に誕生した主な力士

1月10日：照國萬藏（第38代横綱）
1月10日：十勝岩豊（最高位：前頭筆頭）
2月18日：広瀬川惣吉（最高位：前頭3枚目）
2月22日：高津山芳信（最高位：関脇）
3月10日：三濱洋俊明（最高位：前頭20枚目）
5月20日：大蛇潟金作（最高位：前頭筆頭）
11月3日：増位山大志郎（最高位：大関）
11月4日：備州山大八郎（最高位：関脇）
12月23日：豊嶌雅男（最高位：関脇）

1919年に亡くなった主な力士

8月3日：源氏山頼五郎（最高位：関脇）
12月30日：雲竜辰五郎（最高位：前頭7枚目）

1919年は、相撲界にとって変革の年であり、新たな才能が芽生え、歴史を築いた人々が去っていく、激動の年でした。この年の出来事は、その後の相撲界の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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