1925年のラジオ (日本)

1925年の日本のラジオ放送黎明期

1925年（大正14年）は、日本におけるラジオ放送の幕開けとなった年です。この年、東京、大阪、名古屋の3都市でラジオ局が開局し、試験放送を経て本格的な放送が開始されました。ラジオ放送は、当時の人々に新しい娯楽と情報源を提供し、社会に大きな影響を与えました。

主な番組関連の出来事

東京放送局の試験放送開始

2月28日、社団法人東京放送局は、芝浦の東京高等工芸学校に設置した仮送信施設の審査を逓信省から受けました。しかし、「すべてが未完成で放送に不適当」と判断され、当初は放送許可が下りませんでした。その後の交渉の結果、当面聴取料を取らない「試験放送」という名目で放送許可を得ることができました。

3月1日、東京放送局は試験放送を開始しました。放送時間は、午前9時30分から午後8時までで、海軍軍楽隊の演奏、うた沢、三曲、イタリア歌劇団メンバーによる独唱、長唄などが放送されました。この日の放送は、日本におけるラジオ放送の歴史の第一歩となりました。

3月2日には、演芸家として初めて、5代目柳亭左楽が落語を演じましたが、その内容を巡り逓信省から注意を受けるという出来事もありました。また、3月5日には、予定されていた番組を中断して火災発生を報じ、日本初の臨時ニュース放送を行いました。

東京放送局の本放送開始

3月22日、東京放送局は、午前9時30分より中波放送の仮放送（上記仮施設からの本放送）を開始しました。この日を「放送記念日」としています。7月12日には、芝・愛宕山に完成した本局舎からの本放送を開始し、出力を1キロワットに増強しました。

その他のラジオ関連の出来事

各地の放送局設立

1月10日には社団法人名古屋放送局、2月28日には社団法人大阪放送局が設立され、各地で放送開始に向けた動きが活発化しました。

大阪・名古屋放送局の放送開始

5月10日、大阪放送局は、三越大阪店屋上に設置した仮施設から試験放送を開始しました。6月1日には、中波放送の仮放送を開始し、本格的な放送に向けて準備を進めました。名古屋放送局は、6月23日に試験放送を開始し、7月15日に本放送を開始しました。

放送禁止事項の制定

5月22日には、逓信省が「放送無線電話ノ放送取締事項ニ関スル件」を通達し、放送禁止事項を定めました。放送内容の規制は、当時の社会情勢を反映したものであり、放送の公共性を確保するための措置でした。

放送に関する調査と中継

8月、東京放送局は、聴取者を対象にアンケート形式で「慰安放送種目嗜好調査」を実施しました。これは、視聴者のニーズを把握し、より良い番組作りに活かすための取り組みでした。10月31日には、名古屋放送局が天長節祝賀式の様子を実況中継しました。これは、日本初のスタジオ外中継放送となりました。

番組表の登場

11月15日からは、『読売新聞』朝刊の別刷り付録に「ラヂオ版」が加わり、番組表が登場しました。これにより、リスナーは事前に番組内容を確認できるようになりました。

開局

• - 3月22日：社団法人東京放送局（現・NHK放送センター）
• - 7月15日：社団法人名古屋放送局（現・NHK名古屋放送局）

節目

• - 番組周年・記念回：なし
• - 開局周年：なし

主な放送番組

開始番組

※試験放送時の番組を除く。

1925年3月放送開始

東京放送局

• - 22日

- ニュース
- 天気予報

• - 23日

- 株式市況

1925年7月放送開始

東京放送局

• - 12日

- 子供の時間

• - 20日

- 英語講座

終了番組

• - 特になし

特別番組

• - 8月13日：ラジオドラマ『炭坑の中』

まとめ

1925年は、日本におけるラジオ放送の黎明期であり、各地の放送局が開局し、試験放送を経て本格的な放送が開始されました。ラジオ放送は、ニュースや音楽、ドラマなど、様々なジャンルの番組を人々に届け、人々の生活に新たなエンターテイメントをもたらしました。これらの出来事は、日本の放送文化の礎を築く重要な出来事でした。

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