1952年オランダグランプリ

1952年オランダグランプリ：アスカリの圧勝とホーソーンの躍進

1952年8月17日、ザントフォールト・サーキットで開催されたオランダグランプリは、F1世界選手権の第7戦として、フォーミュラ2のレギュレーションのもと行われました。この年は、1952年と1953年において、F1はフォーミュラ2のレギュレーションを採用していたため、このレースもその例外ではありませんでした。

注目ドライバーとチーム

このレースには多くの名ドライバーが参戦しました。前戦を欠場していたルイジ・ヴィッロレージがフェラーリに復帰し、ニーノ・ファリーナ、アルベルト・アスカリと共に強力な布陣を築きました。既に2週間前にワールドチャンピオンに輝いていたアスカリは、このレースでも優勝候補の筆頭でした。

その他にも、エキュリー・フランコルシャンのシャルル・ド・トルナコ、ゴルディーニチームからは、モーリス・トランティニアン、ロベール・マンヅォン、ジャン・ベーラといったフランス人ドライバーに加え、ベルギーのポール・フレールも参戦しました。イギリス勢では、HWMからランス・マックリン、ダンカン・ハミルトン、そして地元オランダからはドリーズ・ヴァン・デル・ローフが出走。エスクーデリア・バンディランテスのマセラティには、ヤン・フリンテルマン、チコ・ランディ、ジノ・ビアンコという顔ぶれが揃いました。ワークスマセラティは、ドイツグランプリでの不振を反省し、今回は欠場となりました。さらに、コンノートのケン・ダウニング、クーパー-ブリストルのマイク・ホーソーン、フレイザー・ナッシュのケン・ウォートン、そしてERAのスターリング・モスといったドライバーも参戦し、多様なマシンとドライバーが競い合うレースとなりました。

予選：フェラーリの優位とホーソーンの快挙

予選ではフェラーリが圧倒的な強さを発揮しました。アスカリがシーズン4度目のポールポジションを獲得し、ファリーナが2番手に続きました。しかし、注目すべきは3番手グリッドを獲得したマイク・ホーソーンです。小さなクーパー-ブリストルを駆り、フェラーリ勢を脅かす速さを見せつけました。ヴィッロレージは4番手、トランティニアンが5番手と続き、ベーラ、マンヅォン、ウォートンが続くなど、多様なマシンが上位グリッドにつけました。

決勝：アスカリの5連勝、ホーソーンの健闘

決勝レースは、ホーソーンが序盤、5ラップに渡りフェラーリ勢と勇敢に戦ったものの、次第にフェラーリのペースに屈する展開となりました。アスカリはファリーナ、ヴィッロレージを従え、そのままレースを支配し、見事優勝を飾りました。この勝利でアスカリは5連勝、ファステストラップも5連続という偉業を達成しました。これは、ファンジオの持つ世界選手権最多勝記録を更新する7勝目となりました。ホーソーンは、フェラーリ勢から2周遅れで4位に入賞し、健闘を見せました。マンヅォンとトランティニアンも入賞を果たしましたが、ホーソーンからさらに1周遅れて5位と6位となりました。スターリング・モスは7位を走行中にリタイアという結果に終わりました。

ポイント争い

このレースの結果、ファリーナは表彰台を獲得し、欠場したピエロ・タルッフィを抜いてランキング2位に浮上しました。このレースに出場しなかったルディ・フィッシャーは4位を維持し、ホーソーンはフィッシャーと同ポイントで5位に順位を上げました。

まとめ

1952年オランダグランプリは、アスカリの圧倒的な強さ、そしてホーソーンの鮮やかな走りによって彩られたレースでした。フォーミュラ2レギュレーションという特殊な状況下で行われましたが、多くの名ドライバーたちがしのぎを削り、順位が大きく変動する、非常にスリリングなレースとなりました。

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