1952年フランスグランプリ

1952年フランスグランプリ：フェラーリの圧倒的勝利

1952年7月6日、ルーアン・レゼサールにおいて開催されたフランスグランプリは、F1世界選手権第4戦として、フォーミュラ2レギュレーションの下で争われました。この年は、1953年と同様に、F1規定とは異なるレギュレーションが適用された特異な年でした。

激戦のグリッド

前戦グランプリ・ド・ラ・マルヌを制したジャン・ベーラは、エキップ・ゴルディーニから、チームメイトのロベール・マンヅォン、プリンス・ビラと共に参戦。前戦でワークスカーをドライブしたジョニー・クレエに代わり、モーリス・トランティニアンがゴルディーニのステアリングを握りました。クレエ自身は、エキュリー・ベルゲから参戦しました。一方、フェラーリ陣営は、前戦でフロントロー独占を果たしたアスカリ、ファリーナ、タルッフィの強力な布陣を維持。さらに、複数のプライベーターがフェラーリを駆り、激しい戦いを繰り広げました。ルディ・フィッシャーとペーター・ヒルト（エキュリー・エスパドン）、フランコ・コモッティとピエロ・カリーニ（スクーデリア・マルゾット）、そしてルイ・ロジェらがその名を連ねます。HWMはランス・マックリンとピーター・コリンズに加え、イブ・ジロー・カバントゥを起用。マセラティはワークス参戦がありませんでしたが、スクーデリア・バンデランテスのフィリップ・エタンセランが新型A6GCMでデビューを果たしました。エンリコ・プラーテは旧型4CLT/48をトゥーロ・デ・グラッフェンリートとハリー・シェルに託しました。残るグリッドには、アルタのピーター・ホワイトヘッドとクーパー-ブリストルのマイク・ホーソーンが名を連ねました。

予選では、アスカリが前戦に続きポールポジションを獲得。ファリーナ、タルッフィとフェラーリ勢がフロントローを独占しました。ゴルディーニ勢が2列目を占め、ベーラが4位、マンヅォンが5位となりました。トランティニアンとビラが3列目、HWM勢ではコリンズが最上位となりました。マセラティA6GCMは期待を裏切り、エタンセランは7位に終わりました。

フェラーリ独走の決勝

決勝レースは、フェラーリの独壇場となりました。アスカリはスタートからフィニッシュまでファリーナを従え、2連勝を達成。ゴルディーニ勢は好スタートを切りましたが、1周目終了時にはマンヅォンとベーラが3位と4位に後退しました。タルッフィは4周目に3位に浮上し、その位置を最後まで守り、フェラーリ勢が表彰台を独占しました。マンヅォンは4位、タルッフィから1周遅れでフィニッシュ。トランティニアンは5位に入り、貴重なポイントを獲得しました。HWMのコリンズはトランティニアンから2周遅れで6位、ベーラは3周目に最下位に落ち込みましたが、その後挽回し7位でフィニッシュしました。ベーラはクラッシュによるピットインを余儀なくされ、レースを妥協せざるを得ませんでした。

アスカリは優勝とファステストラップのポイントを獲得し、ランキングトップに。タルッフィとの差を5ポイントに広げました。ファリーナは2戦連続2位となり、ランキング3位に浮上、タルッフィとの差を1ポイントに詰めました。インディ500優勝者のトロイ・ラットマンが4位、マンヅォンが5位と続きました。

ドライバーとマシンの詳細

このレースでは、いくつかの車両共有も見られました。特に注目すべきは、タルッフィとフィッシャーの車両です。タルッフィは予選と決勝の大半をフェラーリ12番車で走行し、ヴィッロレージがエントリーしていましたが、負傷により欠場しました。フィッシャーは予選と決勝の大半をフェラーリ34番車で走行し、当初は500をドライブしましたが、エンジントラブルにより212に乗り換える事態も発生しました。また、デ・グラッフェンリートとシェルはマセラティ16番車を共有し、エタンセランはマセラティ28番車を走行しました。

このレースは、フェラーリの圧倒的な強さと、ゴルディーニやHWMといったチームの善戦、そして車両共有によるドラマチックな展開など、多くの見どころがありました。アスカリの勝利によって、世界選手権の争いはさらに激しさを増していったのです。

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