1964年の映画

1964年の映画業界の動向

1964年は映画業界において、さまざまな革新や動きがあった年でした。国内外で新たな映画制作プロダクションの設立が進む中、日本国内でも多くの出来事が生じ、映画文化が大きく成長しました。

世界の流れ

この年、フランスでは名監督ジャン＝リュック・ゴダールが自身のプロダクション「アヌーシュカ・フィルム・プロ」を設立し、俳優アラン・ドロンも独自のプロダクション「デルボー・プロ」を立ち上げました。一方、イタリアではマカロニ・ウェスタンと呼ばれる西部劇が大量に製作され、世界市場に広がりを見せました。特に9月12日に公開されたセルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』は、その象徴的な作品となりました。

日本の映画業界

1月の動き

日本では1月1日に東映が年越しのオールナイト興行を実施し、盛況を収めました。また、帝国劇場が取り壊しのため閉館し、最後の上映作品としてデヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』が上映されました。

テレビ放映の承認

2月には、公開から7年以上経過した旧作映画のテレビ放映が承認され、日活は新たにテレビ映画室を設立しました。また、東宝がアンソロジー作品『砂の女』を洋画劇場で上映し、成功を収めました。

健全な成長

5月に入ると、今井正監督による『越後つついし親不知』と木下惠介の『香華』が1本立興行で成功を収め、東映は初の直営ボウリングセンターを開設しました。6月22日には、藤本真澄専務が「映画産業危機宣言」を行うなど、業界の現状に危機感を抱いていました。

夏の変化

夏には、日活が直営劇場を一部売却し、円形360度全面に映写される「サークロマ」が初めて公開されました。また、7月1日に外国映画の輸入が自由化され、業界全体に新たな風が吹き込みました。

秋の東京オリンピック

10月には東京オリンピックが開催され、選手村の総料理長に日活ホテルの馬場料理長が任命されるなど、映画界とオリンピックとの関連もトピックスとなりました。

興行収入と映画作品の動向

この年の興行収入は769億3700万円、入場者数は4億3145万人を記録しました。また、入場料金の平均は300円であり、そうした中で多くの名作が生まれました。特に『砂の女』は、日本映画の中で高い評価を受け、第25回ブルーリボン賞など数々の賞を受賞しました。

映画賞と国際的な評価

映画界では、アカデミー賞で『マイ・フェア・レディ』が作品賞を受賞し、ゴールデングローブ賞でも多くの作品が評価されました。また、カンヌ国際映画祭では『シェルブールの雨傘』がパルム・ドールを受賞し、国際的にも日本映画の地位が向上しました。

登場人物と新星の誕生

1964年は多くの俳優や女優が誕生した年でもあります。竹内力、南果歩などが生まれ、将来の映画界を担う新たなタレントたちが育っていくこととなりました。

このように1964年の映画業界は、国際的な影響を受けつつも独自の進化を遂げ、多くの機会や挑戦があった年であったことがわかります。

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