1967年NFLチャンピオンシップゲーム

1967年NFLチャンピオンシップゲーム（アイスボウル）

1967年12月31日、ウィスコンシン州グリーンベイのランボー・フィールドで行われたNFLチャンピオンシップゲーム。東カンファレンスのダラス・カウボーイズと西カンファレンスのグリーンベイ・パッカーズが、1967年シーズンのNFL王者の座をかけて激突しました。

極寒の戦い

「アイスボウル」の名で知られるこの試合は、NFL史上最も過酷な気象条件の中で行われました。気温は氷点下25度、体感温度は氷点下44度という極寒。5万人以上の観客が詰めかけたランボー・フィールドは、文字通り氷の世界と化しました。寒波の影響で、フィールド下のヒーターは故障し、地面は岩のように硬く、氷のように滑りやすくなっていました。審判は、寒さで金属製の笛が使えなくなり、肉声で試合をコントロールする事態となりました。

ウィスコンシン大学ラクロス校のマーチングバンドは、楽器が凍りつき、演奏を断念。メンバー7人が低体温症で病院に搬送されるというアクシデントも発生しました。

CBSによって中継されたこの試合は、レイ・スコットとジャック・バックが実況、フランク・ギフォードが解説を務めました。

試合展開

試合は、パッカーズがQBバート・スターからWRボイド・ダウラーへのタッチダウンパス2本で先制し、14-0とリードしました。しかし、カウボーイズもパッカーズのターンオーバーから10点を奪い、反撃を開始します。まずは、DEジョージ・アンドリーがスターをサックし、ファンブルを誘発。自らリカバーしてタッチダウンを奪いました。さらに、第2Q終盤には、パッカーズのSウィリー・ウッドがパントをファンブル。カウボーイズが敵陣17ヤードでボールを奪い、FGにつなげました。前半は14-10でパッカーズがリードして終えました。

第3Qは両チーム無得点に終わりましたが、第4Qの開始直後、カウボーイズはRBダン・リーブスからWRランス・レンツェルへの50ヤードのタッチダウンパスが決まり、17-14と逆転に成功します。パッカーズはFGで同点に追いつこうとしましたが、ドン・チャンドラーの40ヤードFGは失敗に終わりました。

残り時間4分54秒、自陣32ヤードからの攻撃で、スターはパスを次々と成功させ、敵陣3ヤードまで攻め込みました。しかし、RBドニー・アンダーソンのランは、カウボーイズのディフェンスに阻まれ、ゴール前1ヤードで止められます。残り時間16秒、第3ダウン残り1ヤードの場面で、スターは最後のタイムアウトを取り、ヴィンス・ロンバルディHCと作戦を協議します。スターは、QBスニークを提案。ロンバルディHCも、カウボーイズがパスを警戒しているだろうと判断し、同意しました。スナップを受けたスターは、Cケン・ボウマンとGジェリー・クレイマーのブロックをかいくぐり、エンドゾーンに飛び込み、タッチダウンを奪いました。21-17とパッカーズが再逆転に成功しました。カウボーイズは残り時間で反撃することができず、パッカーズが3年連続NFLチャンピオンに輝きました。

その後

パッカーズは、第2回スーパーボウルでAFLチャンピオンのオークランド・レイダースを破り、NFLの強豪としての地位を確立しました。ロンバルディHCは、7シーズンで5度目のNFLチャンピオンを達成した後、ヘッドコーチを退任。パッカーズはその後、低迷期を迎えますが、1990年代にQBブレット・ファーヴが入団し、再び黄金時代を築きました。

一方、カウボーイズは、1970年代に2度スーパーボウルを制し、リーグを代表するチームとなりました。QBドン・メレディスは、現役引退後、解説者として活躍し、選手時代よりも有名になりました。

「アイスボウル」は、NFLチャンピオンシップゲームがスーパーボウルよりも重要視されていた最後の年となりました。ランボー・フィールドは、NFLフィルムズによって「The Frozen Tundra（凍ったツンドラ）」というニックネームを与えられました。

この試合には、多くのプロフットボール殿堂入りを果たした選手やコーチが参加していました。カウボーイズからは、テックス・シュラム（GM）、トム・ランドリー（HC）、ボブ・リリー（DL）、メル・レンフロ（DB）、レイフィールド・ライト（OL）。パッカーズからは、ヴィンス・ロンバルディ（HC）、バート・スター（QB）、フォレスト・グレッグ（OL）、ウィリー・デービス（DE）、レイ・ニチキ（LB）、ヘンリー・ジョーダン（DL）が名を連ねています。

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