1968年の自転車競技

1968年の自転車競技界の動向

1968年は、自転車競技の世界において、様々な出来事が起こった激動の年でした。悲しい出来事から、歴史的な記録達成まで、その一年を振り返ります。

競輪界の悲劇と混乱

競輪界では、現役最強と謳われた平間誠記選手が、世界選手権直前合宿中に事故で亡くなるという悲劇に見舞われました。この事故により、プロ日本選手団は世界選手権への参加を取りやめざるを得なくなりました。一方、アマチュア選手団は出場を果たし、タンデムスクラッチで日本人初の銅メダルを獲得するという快挙を成し遂げました。

また、川崎競輪場では、本命選手がスタートで不利な位置になったことから、観客が暴動を起こすという事件も発生しました。さらに、東京都知事の都営ギャンブル廃止表明を受け、後楽園競輪場での日本選手権競輪開催がこの年限りで終了しました。

ロードレースの新たな歴史

ロードレース界では、フェリーチェ・ジモンディ選手がブエルタ・ア・エスパーニャを制し、史上2人目のグランツール完全制覇を達成しました。また、エディ・メルクス選手はジロ・デ・イタリアで総合優勝に加え、ポイント賞と山岳賞も獲得し、グランツール史上初の主要三部門完全制覇を成し遂げました。この記録は、2010年現在でもジロでの唯一の達成例となっています。

ツール・ド・フランスでは、ヤン・ヤンセン選手が最終ステージの個人タイムトライアルで逆転優勝を果たし、総合1位と2位の最小タイム差を更新しました。また、この年からツールドフランスの最終ゴール地点が変更となり、国・地域別対抗戦が終了しました。

世界選手権と主要レースの結果

世界選手権プロロードレースでは、ヴィットリオ・アドルニ選手が優勝。主要なクラシックレースでは、ルディ・アルティヒ選手がミラノ〜サンレモ、ワルテル・ホデフロート選手がロンド・ファン・フラーンデレン、エディ・メルクス選手がパリ〜ルーベを制しました。また、ヘルマン・ファンスプリンヘル選手がジロ・ディ・ロンバルディアとスーパープレスティージュで優勝しています。

トラックレースと競輪の動向

トラックレースでは、世界選手権でアマチュア選手団が銅メダルを獲得。競輪では、高原永伍選手、伊藤繁選手、吉川多喜夫選手らが主要なレースで優勝しました。特に、吉川多喜夫選手は賞金王にも輝いています。

シクロクロスの世界選手権

シクロクロスの世界選手権では、エリック・デ・フラミンク選手がプロ部門で優勝しました。

自転車競技界の新星たち

この年、濱口高彰選手、紫原政文選手、オリベリオ・リンコン選手、神山雄一郎選手、森内章之選手、山田裕仁選手、クリス・ボードマン選手、ブルーノ・リシ選手など、後の自転車競技界を担う選手たちが誕生しました。

1968年のまとめ

1968年は、自転車競技界にとって、様々な出来事が凝縮された一年でした。悲劇的な事故、歴史的な記録達成、レース運営の変化、そして未来を担う新星の誕生。この年の出来事は、自転車競技の歴史において、重要なターニングポイントとなりました。

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